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『親亡き後』障害者の兄弟|きょうだい児について考える

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記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

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「きょうだい児」という言葉を耳にしたことがありますか?

 

きょうだい児とは障がいを抱えた子の兄弟姉妹のことを呼ぶもので、SNSの「#(ハッシュタグ)」で使用されるようになり広がりを見せるようになった言葉です。

~きょうだい児の呼び方について~

本記事では、大人になった方々も「きょうだい児」で統一させていただいております。

大人になった「きょうだい児」の方々は「きょうだい者」と呼ばれることもあります。

きょうだい児には独特の悩みがあると言われており、主にメディアやネット上などで以下のように伝えられることが多いです。

きょうだい児の悩み
  • 子ども時代には、兄弟の障がいのことで友達に傷つけられる対象となることがある
  • 親の愛情が平等でないと感じる(甘えられない)
  • 自分を責めがちになる
  • 大人になったとき、障がいを抱えた兄弟のことが結婚や生活の妨げにならないかと心配を抱えがち

今回は「きょうだい児の悩み」を成長過程ごとに説明し「親亡き後障がい者の兄弟」について考えて行きたいと思います。

「きょうだい児」について考える

きょうだい児たちは成長とともに、障がいのある兄弟と自分に対する両親の目の向け方、世話の量が違うことに気付き始めます。

 

きょうだい児に焦点をあて、成長と共に変わりゆく悩みに注目していきたいと思います。

①きょうだい児の悩み【~少年期頃まで】

生まれてから少年期までの子ども達というのは、どんな状況であれ親の愛情を一心に求めるものです。幼いきょうだい児達は、まだ障がいについてはよくわかっていないために「世話の量=愛情」と勘違いしてしまうこともあります。

 

障がいを抱える兄弟へ対して、親の世話の量が自分よりも遥かに多いために、ストレスが多くなってしまったり甘えることができないまま成長してしまうこともよく聞く話です。

 

親に認めて貰いたいと思ってしまうが故に「親の望む子」になり愛を与えてもらおうと、優等生タイプを演じてしまうこともあります。反対に、問題を起こせば親が自分にも世話を焼いてくれると思い、わざとに手のかかる子を演じてしまう子もいます。

 

多くのきょうだい児達は、みんな心の中に独特の負荷を感じながら成長します。

②きょうだい児の悩み【~青年期頃】

一般的に多くの子が思春期には、親から自立したいという思いが育ちます。それと同時に、親から自立していく自分に不安も感じます。その不安をどうにかしようと、友達から安心感を得ようとします。

 

それにより、友達・仲間は非常に大きな存在となるのですが、その関りのなかで自分の家庭とよその家庭の暮らしの違いに敏感になり始めます。

 

兄弟が障害をかかえていることで、初めて「恥ずかしい」「知られたくない」と思う感情がでてくることもあるでしょう。悪気があるわけではありません。兄弟に対し、そんな気持ちをもってしまう自分を責めることもあるでしょうし、自分の心情に罪悪感を感じることも増えるでしょう。

 

そんな気持ちを抱えながら、友達との付き合いをしていくのきょうだい児の思春期はストレス多きものとなります。

③きょうだい児の悩み【社会人】

一般的に社会人になれば「恋愛・結婚」「就職・出世」「親のい・老介護」など、ライフイベントが増えるため、世界観が一気に広がります。そんな中、きょうだい児の方たちは必要以上に不安や悩みが増えてしまいがちです。

 

良くある悩みをまとめて、お伝えしておきたいと思います。

恋愛・結婚
  • 兄弟のことが気になり、なかなか恋愛に踏み切れない(恋愛することが怖い)
  • 恋人に負担をかけてしまいそうで、結婚に踏み切れない
  • 恋人やその家族が、兄弟のことをどれくらい受け入れてくれるのか心配
  • 兄弟のことで、自分が傷つきたくない
就職・出世
  • 本当は夢があったが、諦めた
  • 親に勧められて、福祉の仕事に就いた(自分の希望ではない)
  • 職場の人に兄弟のことを話しづらいために、仕事に支障が出そうで不安
親の老い・介護
  • 親も老いてきたため、兄弟の世話と親の介護の両方が同時に始まりそうで不安
  • 自分の明るい将来を思い描きにくい
  • 親が他界した場合に、一度に兄弟の世話について責任がのしかかってくるのかと不安になる

こうしたことが悩みになる背景として「誰も障がいについて詳しく教えてくれなかった」「世の中が障がいについて詳しく知らない」といったことが理由のひとつとしてあるのではないでしょうか。

 

いまやネットや本で調べれば、障がいについての情報を得ることはできますが、情報を得たところで簡単に問題は解決しません。

 

実際に世話をするとなれば「薬」「主治医との関係」「本人の困り感に対する対応」など、ずっと一緒にくらしてきたのにも関わらず、あまりにも障がいのある兄弟について知らないことが多いとに大人になって初めて気づく人も多いのです。親が介護状態になってしまったり急に他界した場合は、血縁者として一度に障がいのある兄弟のことについて責任を問われることが増えて悩みはさらに増すでしょう。

 

次では「親亡き後のきょうだい児」について、一緒に考えていきたいと思います。

親亡き後の障害者の兄弟について

親が他界した後の、きょうだい児のことを考えていきましょう。

 

障がいを抱えた子の親が他界すれば「障がいのある子の暮らし(世話)はどうなるのか」という課題が待ち受けています。場合によっては親の介護と一辺にやってくる場合もあります。

もちろん、きょうだい児は有力な世話の候補者となります。

 

親亡き後にきょうだい児が抱える問題には、どういったものがあるのか確認していきたいと思います。

世話を任される

ひとつ目に、世話の問題があります。

 

親に障がいを抱える兄弟の世話をお願いされただけや、期待されただけの曖昧な状態であればその後は大変です。世話をするとなっても、今まで親が担ってきた身体の介助や支援の方法、主治医、薬など、きょうだい児の方々は詳しくを知らないことが多いのも事実です。

 

したがって、きょうだい児には今まで兄弟や親が関わってきた支援者との信頼関係すらないのですが、それらの責任を一気に負わされてしまうことにもなりかねません。

責任を問われる

ふたつ目は、責任の問題です。障がいがあれば、医療や多くの福祉のと関わってきているはずです。

 

その際、障がいを抱える兄弟がどういったサービスを利用するのか、どういう人生にしていくのかといった多くの選択肢の中から答えを選ぶように責任を問われます。親という立場を経験したことがある人なら分かるかもしれませんが、自分以外の人の人生の選択をするのは物凄く大変なことです。

 

そしてその選択が、その人の人生や暮らしを左右するものであればあるほどプレッシャーを感じます。

 

このときに初めて知ることになるのです。一緒に暮らし、一緒に大人になってきた兄弟の多くを、何も理解できていなかったことを。

特に問題がない場合もある

一方で、親が施設の手配や、支援の連携、資産のことをしっかりとしてくれていた場合に何も問題がない場合もあります。

 

こうした場合、親が先々のことを考慮したうえで「行動」を起こしてくれていたことが大きな理由でしょう。

 

親が、残されしきょうだい児のために出来ることは後述したいと思います。
※(次項目「親亡き後のきょうだい児への配慮(生前に親が出来ること・残せるもの【成人後】))

親亡き後のきょうだい児への配慮

きょうだい児達は子どもの頃から、我慢をすることが多くなりがちです。

 

社会人となっても、恋愛や結婚に対しストレスを抱えがちで、年を重ねれば親の介護や親亡き後の障がいを抱える兄弟の世話の問題も出てきます。頼るところがなければ一生誰かのサポート役をして、膨大な悩みを抱えて生きていかなければなりません。

 

きょうだい児の抱える問題について支援が必要なレベルだとは思うのですが、今のところ行政も自治体も大きな社会問題として定義していません。教育関係機関にも問題視されていないために、きょうだい児は相談できる場所も少ないですし、悩みを吐き出していいのかどうかすら曖昧なまま時間だけが過ぎていくことも多いのです。

 

親はもちろんきょうだい児のことを気にはしていますが、障がいを抱える子どもの世話に手がかかるために、きょうだい児へ充分な手をかけてあげれる余裕がない場合が多いのです。

 

そんな中、周囲が出来ることはいったい何があるのでしょうか。

親亡き後のきょうだい児へ周囲が出来ること

「きょうだい児」と言う言葉が広がったことで、地域ごとにきょうだい児を支援する団体が活動をしているところもあります。子どものための活動もあり、支援者ときょうだい児の子ども達で集まり、参加募集型のレクリエーションをする活動もあります。

 

成人したきょうだい児の方々には、ネット上のサロンなどで、悩みを打ち明けれる場を設けるところもあります。

 

話をしたり交流したりする場が有効に働き、自分の存在をやっと認めることが出来るきょうだい児もいます。反対に、こうした団体のひとりとして活動したくないという当事者もいます。

 

そうした集団として固まってしまうことを嫌がる方もいますし、「大変だったね」と、美しい話としてまとめられてすむものか、という気持ちを持った方も少なからずいるようです。

 

「きょうだい児」とまとめて括ってしまうのではなく、本当にその人らしく生きれる社会になっていくのが一番なのだと思います。

 

その為に、社会全体ができることは障がい者の親亡き後も「きょうだい児」だけに責任がのしかかり過ぎないようにすることなのかもしれません。その為に、無理のない範囲でいいので「自分にできることは何かあるかな」と、多くの人に考えて欲しいです。

生前に親が出来ること、残せるもの【子ども時代】

ここからは、親としてきょうだい児に出来ることを考えていきたいと思います。家族というのは精神的に繋がりながら同じ屋根の下で暮らす共同体です。

 

きょうだい児も、ある程度自立してくれば「親の役に立ちたい」「母親の支えになりたい」と思うこともあるでしょう。そうした気持ちを差し置いて「きょうだい児には我慢をさせないぞ」と、親が誓ってしまえば家族として疎外感を感じてしまいます。

 

難しい所ではありますが、成長とともに自分たちの家族のありかたを説明していき、そのなかで自分はどこまでが我慢でき、どこからが苦痛になるのかをきょうだい児自身に考えてもらうのも大切なことだと思います。

 

伝え方が分からなければ、話し合いのなかで一緒に考えてみるのもいいでしょう。

 

そして、時々でいいので、きょうだい児と2人になる時間を設けたり、日々スキンシップをとったり、障がいのある子にはどうしても手がかかるのだけれど、平等に愛していることが伝えられるといいなとおもいます。

生前に親が出来ること、残せるもの【成人後】

実のところ現代の福祉状況では、親亡き後はきょうだい児に負担がかからないようにと、施設へと考えている親も多いはずです。(その施設の空き状況が問題視されているところではありますが…)

 

考えてはいるものの、「行動」に移せていない親が多いのも事実です。

 

「親亡き後に施設へ」と思うだけではなく、親である自分自身が元気であるうちに施設の手配や障がいのある子のためのエンディングノートの作成・お金の手続きなどを済ませておきましょう。「支援事業所に、話はしてあるから手続きはよろしくね」といった状態で親に他界されてしまっては、きょうだい児には負担が大きすぎます。

 

その為には「施設を探す」「エンディングノートを書く」「遺産を整理する」などの行動が必要となります。

「きょうだい児だから」と、任せるものが大きくなり過ぎないように気をつけたいですね。

エンディングノートの書きかた
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きょうだい児を育てる親の立場から考えること

とても多くのことをお伝えしてきましたが、筆者である私は障がいを抱えた子どもがふたりいます。自閉傾向と知的障害がつよく生き辛いのが目に見てわかる娘と、自閉症で知的能力や理解力高い息子がいます。

 

娘と比べ自立可能なことが多い息子を「きょうだい児」のような立場に立たせてしまうことについて反省し、母親として改善すべき課題の多い育児だと感じています。

 

10年ちょっと育児をしてきて、少しだけその課題に対する自分なりの策を見つけました。それは、母親の心のありかたと言うものは子どもに大きく反映するということがきっかけ。

 

私が笑っていれば子どもは嬉しそうな息子に対し、私が出来ることは意外とシンプルなのだなと気が付きました。
可能な限りポジティブであり、ユーモアを忘れないことです。

 

障がいのある子を育てながら忙しくストレスフルな毎日に、どうやってポジティブとユーモアを絶やさないようにするのかといえば「助けを求めることをためらわないこと」です。人間というのは、親の立場になったり大人になればなるほど「甘え」と「助け」の区別がつきにくくなります。

 

自分の家庭のことなのに「助けて」「手伝って」とお願いすることを甘えではないのかと、自責の念にかられてしまうことも多いはずです。外野にも、助けを乞うことを甘えだと批判してくる人もいますが、気にせず「助けて」と声をあげるようにしています。

 

助けを求めることができれば、心に余裕が生まれます。

 

余裕が生まれると笑顔が増えますし、今度は反対に困っている人にも手を差し伸べたい気持ちも生まれますし、助けることにもためらいを持たなくなります。

 

おそらく子供(特にきょうだい児)というのは、親が障がい児に対応する姿を一緒に暮らしながら観察しているでしょうし、助け合いを重視する親の背中をみて、大切なことを自然と学んでいくはずです。

 

「助ける・助けられる」という生き方を見せ、それがとても重要であることを身をもって伝えていくことが大事だと思っています。

 

とても大切なことだと思うので、少し詳しくお伝えさせてください。

援助・福祉・支援を利用する

介護や福祉、そして育児などをするなかで家族以外の助け(援助・福祉・支援、ときに親戚や友人なども)に頼ることはとても重要なことです。

 

世話が必要な人を誰かに預けて遊びに行くなんて申し訳ない気持ちになる方もいるでしょうし、そのことを叩いてくる人もいるのが現実です。ですが日頃大変な人こそ、ときに大変な日常から離れ自分を満たすことがとても大切なのではないでしょうか。それがあるからこそ、また頑張れるのです。

 

家族以外の援助を頼るには、生活の工夫も必要ですし、手続きやお金もかかるかもしれません。それに何より真面目な人ほど決断が必要になってくるでしょう。

 

でも、どんな家庭環境であろうとも、無理をしなければいけないとき、頑張らなければならないときは必ずやってくるのですから、日頃は「無理をしすぎないこと」が大事だと思うのです。

まとめ:『親亡き後』障害者の兄弟|きょうだい児について考える

障がいを抱えた子の兄弟にあたる「きょうだい児」についてお伝えしてきました。

 

きょうだい児には、幼少期~親亡き後障害者のことまで、一般の人たちは考えもしないような悩みがあること。そのことを理解してくれる人が少ないことが問題となります。

 

そして、そのなかでも特に「親亡き後の障がい者の兄弟」として、世話や責任問題を周囲や親がいかに負担を軽くしてあげれるかといった理解が必要になってくると思っています。

 

人生100年と言われていますし、少子高齢化社会のなかで新しい助け合いの形がたくさん生まれてくることを望んでいます。

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