デジタル終活の始め方|スマホやクラウドに保管しているデータはどうする?


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
「デジタル終活」初めて耳にする方が多いのではないでしょうか?
デジタル終活とは「終活」の中の一つで、写真や書類などのデジタルデータを、管理・整理しておくことです。スマホを1人1台持つのが当然になり、パソコンやタブレットなどを併用することも珍しくありません。
写真や文章、オンラインサービスなど、データで管理したりクラウドサービスを利用したりが増えているのではないでしょうか。
デジタルデータには形がないとはいえ、重要なものに変わりないので、しっかり整理しておきましょう。
この記事では、デジタル終活の方法やクラウドで管理しているデータの整理などを紹介します。
デジタル終活とは何?
デジタル終活とは、終活の中でもスマホやパソコンなどに保存しているデータの生前整理をしておくことです。
残されたデータのことを「デジタル遺品」「デジタル遺産」とも呼ばれています。
2017年に総務省から発表された「通信利用動向調査」によると、50代以上のインターネット利用の割合が増加しています。個人のインターネット利用者の割合の推移をご覧ください。
出典:総務省「人口減少時代のICTによる持続的成長」より
2008年と比べて、明らかにインターネットの利用が増えているのがわかります。
スマホの普及率も上がっており、今後も上がっていくでしょう。次の図は、スマホの個人保有率の推移です。
出典:総務省「人口減少時代のICTによる持続的成長」より
スマホでは写真を撮ったり、LINEなどのメッセージアプリでやり取りをしたり、とても便利ですよね。しかし、多くのデータの管理をしっかりできている方は、少ないのではないでしょうか?
「とりあえずスマホやパソコンにデータがあるから大丈夫」と思っているのは、シニアだけでなく幅広い世代に当てはまります。また最近では手持ち端末だけでなく、どの端末からもアクセスできる「クラウド」にデータを保存している場合も多くなっています。
クラウドは保存できる量が多いのが魅力ですが、ついデータをため込んでしまい、整理するのが大変ですよね。整理できていないデータは、もしものことがあったとき、家族が整理することになります。
家族とはいえ見て欲しくないデータがあった場合、亡くなった後に家族や親族間でトラブルに発展するケースもあります。
また、家族に気づかれないデジタルデータで、残された家族に損害を与える可能性もあります。身の回りの整理整頓や断捨離だけでなく、デジタルデータの整理や断捨離も、終活の一つとして進めていきましょう。
デジタル終活をしないと起こるかもしれないトラブル
前章で「デジタル終活をしないと残された家族にトラブルに合うかもしれない」とお話ししました。
デジタルやクラウド上のみで管理している情報やデータで、起こるかもしれないトラブルを紹介します。
サブスクや投資など金銭的な損害を被る可能性
音楽や動画配信サービスなど、数多くのサービスがサブスクとして登場しています。
サブスクとは
製品やサービスなど、定額制や月額で利用すること。サブスクリプションの略
家族が把握して加入しているサービスであれば亡くなった後家族が解約できますが、本人だけしか知らないサブスクに加入していた場合、気づかず、ずっと料金を支払っているかもしれません。
さらに金額が大きいもので、投資信託やデイトレードなどを行っていた場合、把握していないとかなり大きな負債になる可能性があります。
家族が知らないネット銀行の口座を把握できていない
最近増えてきているのは、窓口に行く必要がない「ネット銀行」です。
日本証券業協会の調査によると、ネット口座を開設する年齢層は、シニア世代が少なくありません。年代別のネット取引口座数(%)をご覧ください。
30歳未満 6.6% 30代 15.2% 40代 22.6% 50代 20.7% 60代 16.6% 70歳以上 18.3% 出典:日本証券業協会より
40代が一番多く、次いで50代、70歳以上と続き、60歳以上の口座数が41.5%を占めています。
インターネットの取引が、シニア世代にも普及していることがわかりますね。ネット銀行の口座で証券取引するシニアもいて、亡くなった後口座が見つからないなどのトラブルが考えられます。
もしものとき友人知人に連絡する手段がない
SNSの普及により、シニア世代もTwitterやInstagramを利用する方が増えました。
中にはSNSだけのやり取りで、お互い本名を知らず関わっているケースもあるでしょう。SNSだけの関係の場合、本人にもしものことがあった際、SNS上だけの友人には連絡が遅れるか、連絡できないケースも考えられます。
せっかくの関係も、一方的に連絡が途絶えることになりかねないかもしれません。
家族に知られたくないデータでのトラブル
例え家族とはいえ、見られたくないデータがあっても不思議ではありません。亡くなった後家族が見てしまい、傷つけてしまうこともあります。
デジタル終活の始め方
スマホやパソコンのデータなどを整理する「デジタル終活」、まずなにをすればいいのでしょうか?
大切なのは、どんなデジタルサービスを利用しているのかを把握し、残される家族がわかりやすいように記しておくことです。
デジタル終活の始め方を、具体的に紹介します。
使っているデジタルサービスを書き出す
まず最初に、利用しているデジタルサービスをできるだけ書き出してみましょう。
デジタルサービスには
- アプリ
- SNS(LINE・Twitter・Instagram・Facebookなど)
- ネットショッピング(楽天・Amazon・ヤフーショッピングなど)
- 動画配信サービス(Netflix・U-NEXT・YouTubeなど)
- 音楽配信サービス(Apple Music・Amazon Music UnLimited・Google Play Musicなど)
- ネット銀行の口座
などがあります。
合わせてIDやパスワードも書いておくと、後で家族が整理しやすくなります。
元気なうちに、必要なものと不要なものに分けておき、自分で整理しておくのが一番おすすめです。
デジタルデータをどうしたいか決めておく
残されたデータを、自分が亡くなった後どうして欲しいか決めておきましょう。
例えば
- 写真は家族との思い出としてとっておく
- 加入しているサブスクはすぐ解約してもらう
などです。
使用頻度が低いアプリやサブスクは、先に解約しておくとよいでしょう。
家族とデジタルデータについて共有する
どんなアプリやサブスクを使っているか、ネット口座を持っているかなど、予め家族と共有しておけば、亡くなった後の対応がスムーズになります。
すべて説明するのは大変なので、エンディングノートに書き残しておくのもよいでしょう。
スマホやクラウドに保管しているデータはどうする?
場所を取らないため膨大に増えていくデジタルデータ。管理はとても大変ですよね。
ここでは多くの方が当てはまる、「写真」「連絡先や電話帳」「文章データ」に絞って、整理する方法を紹介します。
写真
写真のデータはあちこちにある場合が多く、スマホやパソコンに入れっぱなしになっていたり、SDカードなどに移したり、なんてことが少なくありません。
残したい写真は、スマホやパソコンではなく、
- SDカード
- USBメモリ
- CD-ROM
などの外部媒体に保管しておくと、消えてしまうリスクをグッと減らせます。
また、仮に見られたくない写真があるなら消しておくのがおすすめですよ。
連絡先や電話帳
スマホや手書きの連絡帳が膨大になっていませんか?
この機会に、まったく連絡を取っていない方を整理しておくとよいでしょう。
スマホに入っている連絡先も写真と同様、SDカードなどの外部媒体に保存しておくとよいですが、ノートなどに手書きで残しておくのもおすすめです。
文章データ
近年では、パソコンにインストールされているソフトではなく、クラウドやオンライン上のサービスで文章作成するケースが少なくありません。
ワードやエクセルを初め、Googleドキュメントやスプレッドシートなど、クラウドで保管しているケースもあるでしょう。必要なものは、やはりSDカードなどの外部媒体に保管し、不要なものは削除がおすすめです。
整理しないとずっとオンライン上に残るので、不正に利用されるのを防ぐために、しっかり整理しておきましょう。
まとめ:デジタル終活の始め方|スマホやクラウドに保管しているデータはどうする?
身の回りの整理や断捨離をする「終活」に加え、スマホやパソコンにあるデータを整理する「デジタル終活」。
デジタル媒体を使う世代は年々増えているので、デジタル終活もとても重要になっています。デジタル終活を進めておかないと、残された家族が不要な金銭トラブルにあう可能性があるので、しっかりおこなっておきましょう。
紹介したデジタル終活の始め方や保管方法を参考にして、進めてみてくださいね。
デジタル終活について具体的にどう進めていけばいいのかわからない…
そんな方はお気軽にお問い合わせください。一緒に進めていきましょう!

「終活の相談窓口」では終活に関する様々なサポートを行なっております。
竹内
- エンディングノートの書き方サポート
- 終活に関するご相談(無料)
- おひとりさまの終活サポート
終活に関するご相談は以下からお願いいたします。
無料で受けられる「終活ガイド初級」で、終活の基礎知識を学びませんか?
エンディングノートの細かな部分をしっかり理解し、”『エンディングノート』を通じて豊かな人生のお手伝いをする”やり甲斐、使命感を感じられる仕事『エンディングノート認定講師講座』については以下をご覧ください。