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人生の最期をリアルに描いたドキュメンタリー映画『エンディングノート』感想とあらすじ

 

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

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自分は全然元気だと思っていたのに、突然死の宣告を受けたらあなたはどうしますか?

  • 残された時間を有意義に使いますか?
  • やり残したことをすべてやり終えますか?

終活の中にエンディングノートというものがあります。

 

エンディングノートとは別名を「終活ノート」または「遺言ノート」ともいいます。この映画はある一人の男性が死と向き合いそのエンディングをテーマにした物語。その父の姿を撮影したのは娘さんでした。

 

有名な俳優さんも出演しないドキュメンタリー映画でしたが、なんと映画は公開後73日目にして動員7万8千人、興行収入1億円を突破したのです!その映画『エンディングノート』のあらすじと感想をお伝えしたいと思います。

▼エンディングノートについてはこちらをご覧くださいませ。

映画『エンディングノート』あらすじ

高度成長期の日本を支えた熱血サラリーマンとして40年も働き続けてきた砂田知昭氏。2009年にようやく仕事の目処がついて67歳で退職します。

 

ところが、第二の人生を楽しみ始めた矢先に胃がんが見つかり、すでにステージ4との宣告を受けました。もともと仕事も「段取り命」だった砂田氏は、自らの人生を段取る計画を立てます。それがエンディングノートでした。

 

残される家族や自分の人生の総決算を計画したエンディングノートに書かれたto do LIST項目がひとつひとつ実行されていくのですが…残念ながら、がん発見から半年後に急に最期が訪れます。父の砂田氏が自分の人生を最後まで生きようとする姿を娘のカメラが記録していました。

 

朝ごはんを食べるなにげない日常、仕事の接待ゴルフ、定年退職のお祝いの会、家族旅行、葬式をあげる式場の下見、病院での父をなどの膨大な映像記録を撮っていたのは、映画の仕事に携わっていた娘の麻美さんでした。

 

はたして、エンディングノートに書かれたプロジェクトを砂田氏はすべて実行できたのでしょうか?そして、最期のそのときに家族はいったい何を思ったのでしょうか?

 

誰にでもいつかは訪れる「死」という重いテーマを監督である娘の目を通して、冷静にドキュメンタリーとして描かれています。撮影される側の父の冷静な姿にも、感動で涙が溢れます。

 

これは誰にでも訪れる死を目の前にしたある家族の物語です。2011年に公開され、話題となった映画ですが、今でもたくさんの人に観続けられている作品です。

予告を観て、涙が出てきませんでしたか?思わず自分ごととして感情移入してしまうこの映画の魅力を考えてみたいと思います!

出演者にプロの俳優はいない

実はこの映画にはプロの俳優さんは出演していません。撮影されたのは砂田知昭さんというどこにでもいる一人のサラリーマンとその家族です。

 

この映画はドキュメンタリー映画です。ドキュメンタリーとは、そのままを撮った記録のことをいいます。通常の映画は脚色や演出がありますが、ドキュメンタリー映画はノンフィクションで真実の記録だけが残されるものです。

*ドキュメンタリー映画の一例として、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺を告発した1956年の『夜と霧』(アラン・レネ監督)があります。日本初公開時にはあまりに残虐なシーンがあるということで数分カットして上映されました。そこに目を背けたくなるような生々しい真実があったからでした。

監督は主人公・砂田知昭さんの娘・麻美さん

この映画を撮影したのは死を宣告された主人公・砂田さんの娘の麻美さんでした。

 

麻美さんは慶應義塾大学総合政策学部在学中から映像制作をしてきました。卒業後はフリーの監督助手として、映画監督の是枝裕和氏らの制作現場に参加しています。父との病気が発覚した当時は、是枝監督の『奇跡』を撮影し、撮影助手として参加していました。

 

そのときに父の病気がわかり、撮影し、麻美さんが是枝監督に映画化を相談したエピソードはこちらです。

このインタビューからも映画『エンディングノート』は、最初は麻美さんの師である是枝監督からは映画にするのをかなり反対されたことが伺えます。

 

どうして師であった是枝監督はこの映画に反対だったのでしょうか?

是枝監督が心動かされ、映画『エンディングノート』のプロデューサーに

『エンディングノート』の監督・砂田麻美さんは家族の在り方を描き続けている是枝監督と師弟関係にありました。そんな師として尊敬している是枝監督に『エンディングノート』の映画のことを相談したときに、是枝監督がこの映画について何を思ったかについての記述があります。

家族や恋人といったいわゆる「身内」を撮影したセルフドキュメンタリーというものが正直好きではなかった。というより、若手の作り手に相談されたら「やめておいたほうがいいよ」と答えるようにして来た。だって語りやすいから。取材する前から知ってるし。もちろんそのジャンルの中に傑作があるのは知っている。しかし、デビュー作にそんな強い被写体を選んでしまったら、次が苦しくなるのではないか?という危惧があったからだ。

にもかかわらず僕の助監督だった砂田さんが「観てほしい」と持って来たのは、娘(砂田)が父を撮り、しかもその父の内面をモノローグでナレーションにしているものだった。

(ケンカ売ってるのか!)と正直思った。

出典:映画『エンディングノート』オフィシャルサイト

最初は『エンディングノート』を映画にすることに難色を示した是枝監督でしたが、最後にはお金も出してプロデューサーもつとめてしまうことに。

映画『エンディングノート』は、一貫して家族を描き続けてきた是枝監督の心を強く動かす作品だったのです。
是枝裕和監督とは

2004年、まだネグレクトという言葉が知られていない時代に巣鴨・子供置き去り事件を題材にした『誰も知らない』では、主演の相楽優弥さんが第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少・日本人初の主演男優賞を受賞。

2018年には第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを『万引き家族』で受賞しています。*1997年に今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶりの快挙です。

2019年には、カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノッシュ主演『真実』が話題になりました。

是枝監督は一貫して家族の在り方について作品を作り続けている監督です。

主人公砂田知昭さんが67歳で定年退職した2009年という年の背景

2009年という年は、2020年の今と同じように新型インフルエンザが流行し、死者が増えた年でした。

 

5月にカナダからアメリカ経由で帰国した大阪の高校生3人が新型インフルエンザに感染し、その高校で集団感染が起こるとパニックが起きました。国立感染症研究所によれば、12月4日、累計患者数が1264万人に上ると発表され、感染者の死亡は100人を超え、政府は当初、水際対策に重点を置きましたが、感染拡大に伴い、重症化の恐れがある患者を除いては自宅療養を原則とし、手洗いの徹底を指導したという年でした。

 

まさに今のコロナ禍と同じ状況で多くの人は死を意識する年でもありました。この年に砂田氏はがんを宣告されたのです。

1942年生まれの父親世代の人生観

1942年に生まれた主人公・砂田氏は団塊の世代の一つ前の世代です。この世代はがむしゃらに働いた世代とも言われ、日本経済においては高度経済成長期、バブル景気を経験している世代です。

 

高度成長期には新幹線、高速道路がどんどんできて経済も発展し、家庭には三種の神器(洗濯機、テレビ、冷蔵庫)がもたらされ、好景気で働けば働くほど暮らしが豊かになっていった時代でした。

 

この時代の父親世代は、猛烈な仕事人間が多く、当然のことながら家庭を顧みない男性も多く、仕事が自分の人生という考え方をする夫がほとんどでした。妻に家庭を任せて、自分は仕事さえしていればいいという考えの夫が多かったのです。

 

砂田氏もまた自分の人生の大半を仕事に費やした世代でもありました。

映画『エンディングノート』の終活の位置付け

終活という言葉は週刊朝日2009年に掲載された「現代終活事情」で初めて世に知られるようになりました。

 

まさに新型インフルエンザが流行していた当時の終活では「葬式」と「お墓」がメイン。まだ今ほど浸透していなかったエンディングノートですが、砂田氏はがんが宣告されて、死を意識するようになり、to do LIST を作り、実行していきました。

 

砂田氏の仕事意識や時代背景を考えると、「段取りが命」という意味では、このエンディングノートは自分の人生の段取りをするのに役立つものだったのではないでしょうか?

 

加えて2011年には東日本大震災が起こります。人は突然死んでしまうかもしれない、そのような考えから終活を考える人が増えてきたのです。

 

映画『エンディングノート』は、2009年に終活という言葉が出現し、その後2011年に東日本大震災があって、のちに公開された映画でした。

まさに死を意識せざるを得ない時代背景があったのです。

映画『エンディングノート』の感想。家族に何をもたらしたか

仕事人間だった砂田氏が死を目前にして、計画したエンディングノートのto do LISTには自分が死んだ後も困らないように家族に段取りを伝える役割を果たしたことでしょう。

 

段取りは、砂田氏が長くビジネスマンとして働いてきたやり方でもあり、また生きてきた証でもあり、家族に伝えたいこと、自分がやり残してきたことを達成する仕事のプロジェクトのようなものでした。エンディングノートは砂田氏にとっては家族に対する愛の表現だったはずです。

 

終活を行う人の多くが迷惑をかけたくないと考えます。砂田氏も段取りよくいろいろなことを遂行し、残された家族が困らないようにすることこそが家族にしてあげられることだったと映画から強く伝わってきます。

 

仕事命で家庭を顧みる時間が少なかった砂田氏が、家族に何を伝えたかったのか、そして何が伝わったのかを映画を見ると第三者の観客にも伝わってきて涙があふれます。

まとめ:映画『エンディングノート』が興収1億円を突破した理由を考える

この映画は有名な俳優も女優も出演していないどころか、知名度のある監督の作品でもありませんでした。

 

ところが、2011年10月の公開時には12館上映からスタートした映画『エンディングノート』。

 

話題が話題を呼び、2011年12月には80館を超える上映となりました。映画は公開後73日目にして動員7万8千人、興行収入1億円を突破しました。

 

がんの宣告を受けて懸命に生きようとする父と、それを受け止める家族の姿を感情移入せずに淡々と撮り続け、編集して作品に仕上げる娘の麻美さんは、静かに膨大な家族の記録を死という重いテーマをつむぎ出しています。もし自分だったらこんなに冷静に死にゆく父親の姿を記録に残せないと思います。

 

でも娘の麻美さんは映画監督という冷静な視点から、父をとり続け、撮影される父親も静謐で、二人の間には一線が見られました。だからこそ、砂田さんの家族の物語に観客は引き込まれていき、深く共感するのです。

 

きっと多くの人が『エンディングノート』を観終わったら、エンディングノートを書こうと決意していることでしょう。映画『エンディングノート』はDVDで観ることができます。涙なくしては観られない心揺さぶられる映画です!

『エンディングノート』公開2011年

監督・撮影:砂田麻美
*砂田監督はこの作品で報知映画賞で新人賞を受賞。

主演:砂田家の人々

発売元:バンダイビジュアル2012年発売

エンディングノートの書きかた
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