「おひとりさまの葬儀」死後の手続きやサポート、サービスについて


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
配偶者との死別、離別、子どもの独立、核家族化、生涯独身など、さらにきっかけは違っても男女を問わず「おひとりさま」と呼ばれる方が年々増加している現代。
自立した生活だからこそ、年齢を重ねるごとに自分の老後と向き合うようになり「死後の葬儀は自分の希望通りに執り行ってくれるのか」「遺骨はどこに埋葬してくれるのか」「遺影はどうしよう」などという考えが巡りだすのではないでしょうか。
今回はおひとりさまの葬儀や自分の最期を希望通りに迎えることができるために、おひとりさまの葬儀、生前契約とその方法についてお伝えします。
記事のもくじ
おひとりさまが生前契約をする理由
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると65歳以上の単独世帯は28.8%となりました。この確率は年々増加しており、2035年には2人に1人が「おひとりさま」になるといわれています。
特に高齢者の一人暮らしでは急病や特病による「孤独死」の恐れも出てきます。
孤独死をするとまず警察による検視と身元確認が行われ、もし遺族が見つからない、または遺族が遺体の引き取りを拒否した場合は住んでいる市区町村で葬儀が行われないまま火葬されます。さらに遺骨の引き取りがされないと市区町村で管理をしている合同墓に無縁仏として納骨されます。
おひとりさまの孤独死を避け自分らしい最期を迎えたい、自分の意思を伝えまわりに迷惑をかけたくないなど、自分の葬儀やお墓について考えることは「終活」の一部でもあるのです。
葬儀の生前契約とは?おひとりさまが希望を伝える方法
そもそも葬儀の生前契約とは、おひとりさまでは難しい自分の死後「葬儀、お墓、何回忌までの法要が必要か」を自分が元気なうちに自分の希望を葬儀会社または第三者へ伝えておくことをいいます。その方法は2つあります。
- 「エンディングノート」に自分の希望を書き留めておく
- 「死後事務委任契約」を専門家に委任する
(後ほど詳しく解説します)
また、どちらの場合も「おひとりさまの葬儀」では自分の意思を残しておくために以下の事柄を記録として残しましょう。
葬儀方法 | 葬儀の方法(一般葬・家族葬・自然葬など)、遺影で使用したい写真の有無、参列者へ知らせる範囲、戒名、自分のこだわりなどを伝えましょう。 |
お墓について | 自分の遺骨をどこのお墓に埋葬されるのかを親族に確認しましょう。お墓の継承者がいない場合は永代供養の合同墓地、納骨堂、散骨などから選び自分の意思を記録しましょう。 |
法要について | 親族がいる場合は何回忌までの法要を希望するのか、親族がいない場合は自分が埋葬される寺院や墓地で永代供養の法要は何回忌までなのかを確認しましょう。 |
遺品やペット | 遺品の処理、ペットの預け先について明記をしておくと安心です。
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葬儀の生前契約|「死後事務委任契約」で専門家に委任する
自分の死後、おひとりさまで身寄りがない、子どもや親族に迷惑をかけたくないなどの理由がある場合は「死後事務委任契約」という制度があります。
死後事務委任契約とは?
本人(自分)が親族、友人知人や司法書士・行政書士のような専門家(第三者)に自分の死後、必要な事務手続きを委任することをいいます。
死後事務委任契約は葬儀や納骨、埋葬、永代供養に関することのほか、死亡届の提出などの行政への諸届、医療費の清算事務などを行ってくれます。財産について書かれる遺言書とは違い、自分の希望する葬儀方法やお墓・埋葬のしかたなどを自由に決めて記録に残すことができるためトラブルを回避することができます。
いずれも本人の希望する葬儀、納骨などの費用は専門家が支払うわけではありません。自分の葬儀費用などについては事前に専門家へ一定金額を預託しておく必要があります。また、契約には公証役場へ必要な書類を提出する必要があります。
死後事務委託の内容
1.遺体の引き取り
2.葬儀、埋葬、納骨、永代供養に関する事務手続き
3.家族、親戚、関係者への訃報の連絡事務
4.自宅(貸借物件)の整理、処分などの清算事務
5.遺品の整理、処分などの整理や清算
6.入院費用、入所費用などの未払い分の清算事務
7.相続人などへの遺品、財産の清算事務
8.ペットの引き渡し事務処理
死後事務委託を契約する際に必要なもの
・必要な書類・・・印鑑登録証明書(3ヶ月以内)・実印・運転免許証・住民基本台帳(顔写真入り)・認印
※申し込む本人とお願いされる側がいずれかを用意すること。
・公証役場手数料・・・11000円~14000円(手数料+正本謄本代)
規模や内容、契約先によって違いがありますが、葬儀・火葬・埋葬の場合は5000円~300000円となっています。必ず事前確認をしましょう。また、親族・知人へ委託をしている場合、報酬費は必要ありません。
▼おひとりさまの「死後事務委任」についてお話ししています。あわせてご覧ください。
▼動画でご紹介した書籍は▼
おひとりさまの死後事務をサポートするサービスを利用
終活協議会が提供するサービスに『心託サービス』というものがあります。
出典:心託プラン
万全プランであればご逝去後の
- 葬儀
- 納骨
- 連絡代行
- ご逝去後の届出
- 遺品整理
- 相続
など一期貫通したサポートがお約束されています。詳しくは以下をご覧ください。
エンディングノートに葬儀の希望を残す
エンディングノートとは、自分の人生の記録や周囲の人への感謝の気持ちを綴るほか、葬儀、お墓、自分の死後の遺品整理などの希望や意思を書き留めるためのものです。
自分の言葉で伝えることができるので親族や知人も葬儀の際に困ることはないでしょう。
また、おひとりさまでエンディングノートを作成する際は、せっかく書き残しても見つけてもらわないと自分の意思が伝わりません。親族や知人など、周囲の人にエンディングノートの存在を知らせておくことが賢明です。
「独身者にもおすすめ」終活イベントへ参加をしてみる
近年、葬儀会社や寺院などで終活イベントが開催されています。
そこでは実際にお棺へ入り横になる納棺体験・死装束の見本・エンディングノートを書く体験・遺影撮影会・霊園を巡る・葬儀場の見学ができるなど様々な体験ができます。
このようなイベントは40代、50代の年齢層をはじめ、高齢者のおひとりさまが自分の葬儀や最期を考えるために参加をする方が増えているそうです。葬儀に関することを実際に自分の目で見るとより具体的な考えが浮かぶかもしれませんね。
「一人暮らしの孤独死」を避けるための行動
一人暮らしとなると、人とのつながりや会話が煩わしい、外出が億劫になる高齢者もいますよね。しかし孤立を避けなければならない「おひとりさまの高齢者」だからこそ、外部とのコミュニケーションはとても重要になります。いくら自分の葬儀について生前契約をしたとしても「孤独死」は避けなければいけません。体調や特病によりますが、気分がいい日は積極的に行動をしてみませんか。
1.住んでいる地域や近所付き合いをしてみよう
敬老会や区役所などで行われているサークルやイベントに加入してみる、ご近所さんとの会話をするなど、人との繋がりを維持することにより自分の存在を知ってもらい、孤独死を避ける確率が高くなるでしょう。
また、自分と同じ「おひとりさま」と知り合うことができて共通の会話や様々な情報を得られることがあるかもしれませんね。
2.見守りサービスを利用する
警備会社や民間企業が24時間見守りサービスを展開しています。
部屋に設置されたセンサーや緊急通報ボタンによってコールセンターから看護師や介護福祉士へつながるしくみです。また、行政でも見守りサービスを行っている地域があります。自分の住んでいる地域で行われているのか確認をしてみましょう。

3.かかりつけ医をつくる
おひとりさまでの日々の生活で体調不良や万が一に駆け付けてくれて自分の特病を知ってくれているかかりつけ医がいるということ、また、自分の存在をわかっていてくれる人がいるだけでも心強いですね。
まとめ:「おひとりさまの葬儀」死後の手続きやサポート、サービスについて
人間、誰しも年齢を重ねるごとに自分の最期や葬儀について考えだしますよね。
高齢化社会の日本においては「おひとりさま」が自分の葬儀に関して考え、行動に移すことは特別なことではありません。また、自分の葬儀について考えるというと後ろ向きなことのようにとらえがちですが、おひとりさまライフを楽しみながら自分のこれからの人生を前向きにするための行動としてとらえてみてはいかがでしょうか?
行政や葬儀会社などの葬儀や終活イベントなどに参加をしながら「おひとりさまの葬儀」をイメージするのもひとつの方法でもありますよ。そのうえで自分に合った葬儀を選び、その意思を周囲に伝え残すことも大切です。
「終活の相談窓口」では終活に関する様々なサポートを行なっております。
竹内
- エンディングノートの書き方サポート
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- おひとりさまの終活サポート
終活に関するご相談は以下からお願いいたします。
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