おひとりさまの終活サービス|安心して一人で老後を迎える準備


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
身寄りがない
親族はいるけれど、みな高齢で頼れない
家族とは絶縁状態になっている
配偶者に先立たれて一人で暮らしている
日本では、そんな「おひとりさま」高齢者が増えています。
お一人でも、元気で日常生活に支障がないうちは問題ありませんが、もし、病気になったら、介護が必要になったら、あるいは突然亡くなったら、どうしたらいいのでしょう。
そんな切実な問題を抱えていあるおひとりさまこそ、終活が大切になってきます。
ここでは、おひとりさまが、死後に備えるためはもちろんのこと、安心して老後を過ごすためにどんな終活をすれば良いのかと、利用したいおひとりさま終活サービスについてまとめてみました。
おひとりさまの老後は、他人事ではない
年々、老後一人暮らしの世帯が増える日本、おひとりさま老後はもはや他人事とは言えなくなってきました。
内閣府が発表した「令和2年版高齢社会白書」によると、2018年の時点で、65歳以上の者がいる世帯の割合は、全世帯数に対して48.9%。なんと、全世帯のほぼ半数の2792万7千世帯となっています。
そのうち、一人暮らしの世帯は、27.4%で、一人暮らし予備軍とも言える夫婦のみの世帯(32.2%) 、親と未婚の子のみの世帯(20.5%)は合わせて、52.7%です。
高齢化、少子化の進む日本では、おひとりさまの高齢者は、今後も増える傾向にあり、決して他人事とは言えない問題になっています。
おひとりさまこそ「終活」をするべき理由
終活に取り組む大きな理由の一つとして挙げられるのが「残された家族に迷惑をかけないため」と言う回答ですが、おひとりさまは、家族がいないからこそ、早めに終活に取り組んでおくべきです。
どんな人にとっても終末期の医療や介護については不安があるものですが、頼れる人がいないおひとりさまの場合、家族のいる人以上に深刻な問題と言えます。
おひとりさまの終末期の課題
- 体の自由がきかなくなった場合、介護してくれる人がいない
- 入院や介護施設に入所時に必要な身元保証人がいない
- 認知症になったとき、支払いなどのお金の管理や、役所の手続きなどを代わりにやってくれる人がいない
- 死後のことを任せる人がいない
もし一人暮らしの高齢者の方が亡くなったら、その死後のさまざまな手続きはどうなるのでしょうか。
亡くなった方が自分の死後に備えて何の準備もしていなかった場合には、次のようなトラブルが起こり得ます。
おひとりさまの死亡時のトラブル
- 死後も長い間気づかれない可能性がある
- 親戚の連絡先がわからない
- 遺体の引き取り手が不在
- 通帳や保険証など重要な書類の場所がわからない
- お墓があるのかどうか、あるとしてもどこにあるかがわからない
遺体の引き取り手がない場合、何の準備もなく、何の情報も残さなかった場合、行政が火葬と埋葬を行うことになります。お墓がない場合は、遺骨は、共同墓地などに納められます。
葬儀を執り行ってほしいなどの要望がある場合は、希望する葬儀の内容やどこから資金を出すかなどを決め、わかるようにしておく必要があります。また、葬儀、埋葬以外にも人が亡くなった後にしなければならない死後事務は思いの外たくさんあり、何の準備もなく、何の情報も残さなかった場合、病院や介護サービスの精算や解約手続き、遺品の整理などで迷惑をかけてしまう可能性があります。
一人暮らしの高齢者が増える傾向にある日本では、引き取り手のない孤独死が増えています。それゆえ、おひとりさまこそ、安心して老後を過ごすために、健康なうちに終活に取り組むことが大切になってきます。
おひとりさま向け終活サービスや制度
では、頼れる身寄りがいないおひとりさまが、終活で何をすればいいのでしょうか。
ここからは、身の回りの品の整理や遺言書の作成など、誰もがやっておきたいことに加え、身元引受契約、任意後継契約、死後事務委任契約などおひとりさまが活用したい終活サービスをご紹介します。
生前整理
おひとりさまに限らず、生前整理は終活の一環としてやっておきたいことのひとつです。体力、気力が必要な作業になりますので、元気なうちに、身の回りの品の整理をしておきましょう。
おひとりさまの場合、自分一人で行うのが難しいと感じることもあるでしょう。施設に入居するので、多くの持ち物を急いで処分しなければならないケースもあります。
そんな時は、生前整理をサポートしてくれるサービスを活用する方法もあります。
保険証や、通帳など置き場所がわからなくなってしまった重要書類を整理中に探してくれたり、誰かに譲るものをまとめて目録を作ってくれたり、不要な家具や家電などを処分するなど、一人では難しいことは、サービスを利用して、業者の方に手伝ってもらうとよいでしょう。
遺言書の作成
遺言書がない場合は、遺産は法定相続人の方が受け取ることになりますが、おひとりさまの場合、法定相続人が誰もいないということもあります。その場合、すべての遺産は国のものとなります。
それで問題なければよいのですが、友人や世話をしてくれた人に、あるいは特定の団体などに遺産を残したい場合は、遺言書にその旨をはっきりと記しておく必要があります。
遺言書は、自分でも作成できますが、内容に不備があると無効になってしまいます。不安な方は、費用はかかりますが、公証役場で公証人に作成してもらうとよいでしょう。
任意後見契約制度
認知症になると、貴重品や財産の管理、役所の手続きや介護の契約などが自分でできなくなります。任意後見契約は、将来、認知症などでそのような状態になったときに、財産管理、各種手続きや契約を代理でおこなってくれる後見人を、事前に選んで契約を結ぶというもの。
どんなサポートを受けるかは、事前の契約で決められますが、後見人ができることとしては以下のようなものがあります。
- 貴重品、財産の管理
- 定期的な収入の受け取りと支払い
- 不動産に関する手続きや契約
- 医療、介護に関する手続きや契約
- 行政上の各種手続き
何を誰にしてもらいたいのかよく考え、万が一の時に備えて、元気なうちに信頼できる後見人を選んで契約しておくと、安心です。
死後事務委任契約
人が亡くなった後には、葬式や埋葬、遺品整理などさまざまな事務が必要になります。任意後見契約や遺言書ではおこなうことができないこれらの手続きを、家族に代わっておこなってもらうための契約が、死後事務委任契約です。
死後事務委任契約でしてもらえることには、以下のようなものがあります。
- 死亡届の提出
- お葬式
- 火葬
- 納骨あるいは散骨
- 病院や施設の退院退所と精算
- 公共料金の精算と解約
- 遺品整理
- 部屋の引き渡しと精算(賃貸住宅の場合)
- ペットの引き渡し
- 遺書の執行
- 健康保険、年金の資格抹消申請
- 住民税・固定資産税の納税手続
- SNSなどのアカウント削除
- パソコン、携帯電話の情報抹消
最近では、死後事務委任契約サービスを提供する民間業者や社団法人が増えてきました。
業者ごとにサービスの内容や料金は異なりますので、まずは相談してみて、ご自身に必要な事務手続きを提供してくれる業者を探してみましょう。
身元引受契約
病院への入院や、介護施設などへの入所の際には、保証人や身元引受人が必要となります。身元引受契約とは、身寄りのないおひとりさまのために、保証人や身元引受人としての登録を引き受ける契約です。
身元引受だけの契約を提供している業者もありますし、任意後見契約や死後事務委任契約のオプションとして提供している業者もあります。一般社団法人終活協議会が提供する『心託サービス』では、年会費1万円(年会費、月額不要)で保証人代行を行っています。
のちに解説する『見守りサービス』から『生活サポート』までおひとりさまにとって必要なサポートを一気貫通で行っています。
見守りサービス
最近では、高齢者の安全を見守るさまざまなサービスも登場しています。
見守りサービスの目的は、高齢者の安否確認、緊急事態時の対応などで、おひとりさまの場合は、孤独死の防止にもなります。
見守りサービスの形態には、訪問型、電話型、センサー型、カメラ型、緊急時通報(駆けつけ)型などいろいろな種類があります。それぞれのメリット・デメリットや、費用を踏まえて選ぶとよいでしょう。

まとめ:おひとりさまの終活サービス|安心して一人で老後を迎える準備
おひとりさまの老後には、そうでない方以上に、さまざまな課題や問題があります。しかし、終活への関心が高まる中、終活サービスも充実してきています。
この記事では、以下のようなおひとりさまの終活に役立つサービスや制度を紹介しました。
生前に利用するもの
- 生前整理サービス
- 遺言書の作成
- 任意後見契約
- 身元引受契約
- 見守りサービス
死後に備えて
- 死後事務委任契約
このようなサービスを利用することで、おひとりさまの抱える老後、死後への不安はかなり軽減されるのではないでしょうか?
安心して老後を過ごすためにも、おひとりさまこそ終活が重要になってきます。

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