海外に暮らす人ほど終活は重要!その理由や注意すべきポイント


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
海外に暮らす日本人は年々増える傾向にあります。
仕事や婚姻で海外移住するケースに加え、定年後の移住や長期滞在するケースも増えています。そのまま海外で一生を終える人もいるでしょう。
しかし、日本国籍を有する日本人が、海外で亡くなった場合は、日本で亡くなるケース以上に遺族に負担がかかることもよくあります。
この記事では、海外で暮らす日本人の終活について、その必要性や、気をつけるべきポイントをまとめてみました。
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記事のもくじ
増え続ける海外在住者
海外に暮らす日本人は、年々増え続けています。
外務省のデータによると、平成元年に58万6972人だった海外永住者と海外長期滞在者は、平成30年には倍以上の139万370人となっています。
平成元年 | 平成30年 |
58万6972人 | 139万370人 |
→→→→倍以上 |
参照:外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計」平成30年10月1日
年金だけでは日本での老後の生活が厳しいことから、年金で生活に支障のない暮らしを送れる物価の安いアジアへの移住や長期滞在も増えています。
サービスアパートメントや海外での不動産を斡旋、サポートする日本の企業や現地のエージェンシーもあり、以前より海外移住は簡単になりました。
海外移住は、ワクワクする体験でしょう。
しかし、シニアが海外で生活するのであれば、言葉や文化の問題、医療の問題、亡くなった後の葬儀や埋葬の問題についてなど、考慮しておくべき点は多々あります。
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海外で暮らすなら、家族の負担を考慮することが大切
海外で病気で倒れたとき、亡くなったとき、どうして欲しいのか、家族や親戚と遠く離れているからこそ、しっかりと考え、その意思を伝えておくことは重要になります。
自分に何かあれば、家族や親戚に日本からわざわざ来てもらわなければならないケースも!
ご家族が海外へ行き慣れているとは限りませんし、コストもかかりますので、負担は大きいものになるでしょう。
そのため、日本でシニアライフを送る以上に、終活は重要になり、ご家族に自分の意思や希望を伝えておくことが大切なります。
医療、葬儀、埋葬、遺産相続について、海外で暮している場合、 日本と異なる点や考慮しなければならない点が多々ありますので、それぞれ詳しくみてみましょう。
医療について海外と日本の違い
老年期に入れば何かと病院のお世話になることが増えてくるものです。
海外の医療と日本の医療の違い、問題点などを以下考えてみましょう。
海外での医療における問題点
海外で医療を受ける場合は、以下のような問題が起こり得ます。
- 必ずしも日本語が通じるとは限らず、医師との会話ができない
- 日本語通訳を雇うことはできるが、通訳料がかなりかかる
- 発展途上国においては、日本の医療水準にはおよばない
- 欧米諸国では、外国人の医療費はかなりの高額になる
- 発展途上国でも、外国人料金などが設定されており、日本の医療費より高くなるケースが多い
- 発展途上国では、先進国ではあまりみられない風土病や伝染病に気をつける必要がある
自分の不調を自分の言葉で伝えられないことは大きな問題です。
また、生活費が安くても医療費が高額であれば、それが生活を圧迫することにもなりかねません。
終末医療についての考え方の違い
終末期の延命治療についての考え方は国によって様々です。
日本では意識が朦朧として寝たきりであっても、お腹に穴を開けて栄養を送り続ける胃ろうなどの延命治療は、よく行われていますが、それを残酷な行為と捉える国もあるのです。
海外では延命治療について、家族の意見よりも患者本人の意思を尊重するのが当たり前と考える国もあります。
どんなに元気な人でも、海外で突然倒れたり、事故にあう可能性がないとは言えません。
そのときに延命治療を望むかどうか、明確に意思表示しておくことが大切になってきます。
亡くなった後は、日本へ搬送?現地で火葬?
誰にでもいつかは死が訪れます。
海外で亡くなった場合、その後はどのような流れになるのでしょうか?
可能性として考えられるパターンはいくつかあります。
- 日本に遺体を搬送し、日本で葬儀、火葬、埋葬する
- 現地で火葬し、遺骨を日本に搬送、葬儀、埋葬する
- 現地で火葬し、現地の納骨堂に遺骨を納めるあるいは散骨する
- 現地で土葬する等
亡くなった原因や防腐処理ができないために、日本に遺体を搬送できないこともありますし、国によっては、火葬が禁止されていることもあります。
国によって可能なこと、不可能なことが異なりますので、事前に確認しておきましょう。
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もし、亡くなった後に、日本に遺体を輸送することを希望するのであれば、それなりの費用を残しておくことが必要です。遺体の輸送費自体かなりの金額がかかりますし、遺体の引き取りに来る遺族の交通費や滞在費もかかるからです。
また、遺体搬送には特別な手続きも必要になりますし、国によって対応が異なり、言葉のわからない海外で書類仕事をしなければならないなど、遺族にとっては大きな負担になることも考えられます。
遺体の搬送より、コストがかからない方法としては、現地で火葬して遺骨だけ日本に持ち帰るという選択肢もあります。
遺骨については手続きを踏めば、多くの航空会社で手荷物として機内持ち込みができるようです。
いずれにしても、海外で亡くなった場合は、日本で亡くなる場合よりも、遺族に負担がかかります。
そのことも踏まえ、死んだ後の希望を伝え、その準備をしておくこと重要になってくるのです。
海外に暮らしている間のお墓の管理は?
海外移住する前に、考えておきたいことの一つがお墓の管理についてです。
後継者がいて、その方が見てくれるのであればいいのですが、後継者がいない場合は、そのままにしておくわけにはいきません。
移住前に墓じまいをするなど、きちんとしておきたい問題です。
墓じまいについては以下の記事で詳しく解説しています。
遺産相続について、明確にしておく
海外に住んでいても、日本にある預金や不動産については、日本の法律に従って遺産相続が行われます。
しかし、海外に預金や不動産がある場合は、海外の法律に従わなければならないケースが多いようですので、注意が必要。
法定相続人や財産の配分も、日本の法律と海外の法律では異なります。
財産を自分の死後どのように分配するのか希望がある場合は、現地の遺産相続専門の弁護士に相談して、法的に有効な遺言状を作っておく必要があります。
また、遺言書を残す場合、死んだ後の手続きや片付けをしてくれるのは誰なのか、その人の手間やそのためにかかるお金について、考慮したいものです。
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いずれは日本へ戻るという人も
海外で老後を過ごすことを決心して移住した人の中にも、最終的には日本へ戻る人も少なくはないようです。自身の病気や配偶者が亡くなったことをきっかけに、帰国するケースも見られます。
最初のうちは楽しかった海外生活が、食文化や、生活習慣の違い、交友関係、言葉の問題などでストレスになってくることもあるでしょう。
そんなときは、自分の気持ちに正直に、日本に帰国しても良いのです。大切なのは、最後まで自分の納得できる生き方をすることなのですから。
まとめ:海外で暮らすなら、終活はしっかりと!
人生のエンディングをどこで、どのように生きるか、それを考え実行するのも終活の一つであり、後悔のないようにやりたいことにチャレンジするのは素敵です。
ただ、人生の後半から海外に暮らすという選択をするのであれば、終活は欠かせないものになるでしょう。
家族と、しっかりと相談し、病気になった場合、亡くなった後の希望などをしっかりと伝えてください。
また、海外における財産の遺産相続は、日本における遺産相続以上に煩雑です。遺言書を作るなど、残された遺族の負担が少なくなるような対策は取っておきたいものです。
しっかりと準備することで、海外での暮らしをより充実したものにしてほしいと思います。
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