高齢者で一人暮らしをする親が心配…遠距離介護の方法やコツを押さえよう!


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
「高齢になった母親の一人暮らしが不安」
「私が見ていない間に、何かあったらどうしよう…」
いつでも介護ができる状態ではないからこそ、不安は絶えないものですよね。中には、呼び戻し介護を検討している人もいるかもしれません。
この記事では、高齢者の一人暮らしを介護する”遠距離介護”のメリット・デメリットやトラブルを防ぐ方法などを解説します。今後の介護方針の検討に、ぜひ活用してみてくださいね。
高齢者の一人暮らしは増加傾向にある
まずは、高齢者の一人暮らしにスポットを当てて説明します。
結論から言うと、高齢者の一人暮らしは増加傾向にあります。
厚生労働省の令和2年版高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らしをする人は、年々増えているのがわかります。特に、女性の割合が高くなっています。
西暦 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
1985年 | 233人 | 948人 | 1,181人 |
1995年 | 460人 | 1,742人 | 2,202人 |
2005年 | 1,051人 | 2,814人 | 3,865人 |
2015年 | 1,924人 | 4,003人 | 5,928人 |
2040年(推計値) | 3,559人 | 5,404人 | 8,963人 |
同調査では、2040年には約9,000人の高齢者が、一人暮らしをすると予測されています。
あわせて、同調査の65歳以上の者の介護を見てみると、65歳以上の者の要介護者等数は増加しているのがわかります。特に、75歳以上で割合が高く、高齢になるほど介護の必要性は増します。
そのため、今後もより一層介護の需要は高まり、その方法も多様になるでしょう。
また、厚生労働省の資料によると、一人暮らしで頼る相手としては、子ども・孫が51.0%と一番高いです。そのため、あなたが親をサポートする必要性も高いと言えます。
身体的・精神的なサポートはもちろん、あわせて押さえておきたいのが、一人暮らしで起きやすいトラブルです。あなたの見えないところで、何かあっては困りますよね。
では、どんなトラブルが起きやすいのかも確認していきましょう。
知っておきたい高齢者の一人暮らしで起きやすい問題
高齢者の一人暮らしで心配になるのが、一人ゆえのトラブルですよね。何かあったときにすぐ対応できないのは、親もあなたも困るはずです。
実際に、どんな問題が起きやすいか知っておくことで、対策ができるでしょう。高齢者の一人暮らしで起きやすい問題として、次のものが挙げられます。
- 不健康な食生活になる
- トイレのトラブルが起こる
- 服薬管理が難しい
- 金銭管理ができない
- 外出時に事故に遭う
- 徘徊による行方不明が起きる
- ご近所トラブルが発生する
- 病気で重体に陥る
- 認知症が進行する
- 火の不始末による火事が発生する
- 孤独死してしまう
上記のように、考えられる問題はあげればキリがないほどです。
現在は健康で元気があっても、歳を重ねるにつれてボケが進行したり、認知症に発展してしまったりする可能性もあるでしょう。トラブルを防ぐためにも、事前に介護方法はしっかり考えておくべきでしょう。
親と同居することが難しい場合は、遠距離介護をするのも一つの手です。とは言え、遠距離介護が自分に合っているのか、どんな利点があるのかよくわからない人もいるのではないでしょうか。
一人暮らしの高齢者を遠距離介護するメリット・デメリット
前章で、高齢者の一人暮らしで起きやすいトラブルを見てきました。
親の一人暮らしを尊重しつつ、サポートを行いたい場合は遠距離介護をしても良いでしょう。ここでは、一人暮らしの高齢者を遠距離介護するメリット・デメリットを紹介します。
遠距離介護のメリット
遠距離介護のメリットは、次の通りです。
- 住み慣れた地域で暮らす安心感がある
- 親が築いた人間関係を維持できる
- 家族は現在の住居環境を変えなくてよい
- 介護のオン・オフがしやすい
- 身体的な負担が少ない
- 同居介護と比べると訪問介護の生活援助が活用しやすい
- 特別養護老人ホーム(特養)入居の優先度が上がりやすい
大きな利点は、住居環境を変える必要がないことでしょう。親にとっても家族にとっても、住み慣れた場所での生活や人付き合いができるのは嬉しいことなはず。
介護者であるあなたの、身体的な負担が減ることもありがたいでしょう。介護のオン・オフも切り替えやすくなります。
また、訪問介護や特養を活用しやすいメリットもあります。現在は不要でも、今後のことを考えたときに助かるかもしれませんね。
遠距離介護のデメリット
一方で、遠距離介護のデメリットは、次の通りです。
- 容態が急変した際の早急な対応が難しい
- 親の見守りに誰かの協力が必要な場合がある
- 親の住んでいる地域の情報収集が難しい
- 交通費・通信費・手土産代などの費用がかかる
- 介護で仕事を休む機会が増える
介護を遠方で行う場合の大きな欠点が、容態が急変したときの対応でしょう。すぐに駆けつけるのが難しい距離の場合、何かあったときに誰かを頼らざるを得ません。場合によっては、泊まり込みで介護が必要になることも考えられるでしょう。
普段の生活面で言うと、親の住んでいる地域の情報を集める必要が出てきます。
また、会いにいく際に交通費・ご近所さんへの手土産代がかかったり、連絡をとるための通信費も必要です。場合によっては、介護で仕事を休まなくてはいけないこともあるでしょう。
以上が、遠距離介護のメリット・デメリットでした。それぞれをチェックした上で、「親と同居して介護をしようかな」と思った人もいるかもしれませんね。
もし、呼び寄せ介護をするなら次の記事を参考にしてみてください。親への提案方法など、詳しい内容がわかるようになっています!
高齢者の一人暮らしトラブルを防ぐ方法を知ろう!
高齢者の一人暮らしでは、何かと問題が起きやすいものです。しかし、中にはしっかり対策をしておけば防げるトラブルもあります。
この章では、一人暮らしのトラブルの予防策を見ていきましょう。具体的には、次のような方法が挙げられます。
- 親の生活を知る
- 親の経済状況を確認する
- 親の人間関係を知る
- 親の希望を確認する
- 解決できそうな問題に対応する
- 周りの人との繋がりをもつ
- 介護サービスの情報収集をする
やはり大切なのは、親の生活状況をしっかり把握することです。健康状態や経済状況、人間関係など、わかる範囲で確認してみてください。
その中で、現状すぐに対応できそうな問題があれば、解決に向けて動きます。例えば、服薬管理がうまくできていない場合は、かかりつけの医師や薬局に相談するなど、具体的な方法が見えてくるはずです。
また、今後の介護を見据えて、介護サービスの情報を集めてみても良いでしょう。もしくは、遠距離介護についてより理解を深めるのも一つの方法です。当サイトでも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
負担を減らすために!うまく介護を続ける5つのコツ
先ほどは、一人暮らしを防ぐ方法について紹介しました。
直接介護をするのも大変ですが、遠距離介護であっても負担がかかることはありますよね。介護疲れで、あなたが倒れてしまっては大変です。
介護を継続するためにも、負担を減らすためのコツを見ていきましょう。ここでは、次の5つを紹介します。
- 介護と仕事の両立を考える
- ご近所さんや介護関係者とうまく連携する
- 介護支援制度を活用する
- 交通費で割引制度を活用する
- 住居の改善を図る
1つずつ見てきましょう!
介護と仕事の両立を考える
うまく介護を続けるためには、仕事との両立をしっかり考えましょう。
やはり、介護に注力してしまうのは、仕事やプライベートに支障が出てしまうからです。逆もしかりで、仕事が忙しいのに介護もやらなければいけないのは、負担がかかります。
今すぐには難しいかもしれませんが、仕事が忙しければ働き方を変えてみるのも良いでしょう。
介護で負担を感じているのであれば、介護サービスを活用しても良いですね。遠距離介護に疲れた場合の対処法を後ほど紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ご近所さんや介護関係者とうまく連携する
あなた以外の介護者と連携することも、一つの方法です。あなたが親を見守れない場合でも、代わりに介護してくれるのはありがたいですよね。
例えば、以下のような人がピッタリと言えます。
- 仲のいいご近所さん
- ケアマネジャー
- ヘルパーなどの介護スタッフ
- かかりつけの医師
介護を丸投げするのではなく、介護に関する情報をもらったり、必要な場合に対応してもらったりするだけでも、介護しやすくなります。いざという時に、お願いしてみてはいかがでしょうか。
介護支援制度を活用する
会社の介護支援制度を利用してみるのも、介護を続けやすくなるかもしれません。休暇取得や金銭的援助をしてくれる企業も、中にはあります。
支援制度について詳しく知らない場合は、一度会社の規定を確認してみると良いでしょう。
また、NPO法人や民間企業が実施している、遠距離介護のセミナーに参加してみるのも、何かヒントが得られるかもしれませんね。会社や地域など、介護支援制度は積極的に活用してみてください。
交通費で割引制度を活用する
帰省にかかる交通費もばかになりませんよね。航空会社によっては、介護割引を導入しているところもあるため、活用してみると良いでしょう。
例えば、日本航空(JAL)や全日空(ANA)などで、用意されています。鉄道や新幹線でも用意されているところがあるので、一度チェックしてから帰省を考えてみてはいかがでしょうか。
住居の改善を図る
簡単にはできないかと思いますが、住みやすい住居に改築することも、介護の負担軽減に繋がります。高齢者が住みやすい造りになり、事故防止にもなるからです。
例えば、家の中の段差をなくしたり、危ない箇所をなくしたりしてみると良いでしょう。住居を丸ごと改善するのは大変ですが、部分ごとに変えていくのも一つの手と言えます。
遠距離介護に疲れたら?対策方法をチェックしよう
介護の負担を減らそうと動いても、なかなか難しいこともありますよね。どうしても介護に疲れてしまった場合は、どうしたら良いのでしょうか。
介護疲れの対策方法としては、以下のものが挙げられます。
- 見守りサービスを利用する
- 介護保険サービスを利用する
- 自治体独自のサービスを利用する
- 地域のボランティア団体のサービスを利用する
- 民間サービスを利用する
大前提として、介護に疲れた場合は誰か・何かに頼りましょう。一人で介護を続けるのには、限界があります。
当サイトでは、介護に関する情報を発信しています。
一人暮らしをしている高齢者向けの見守りサービスは、以下の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください!

介護保険サービスを検討する場合は、次の記事が参考になるはずです。
地域の制度を活用する場合も、やはり情報収集が大切です。ぜひこの記事を読んだ機会に、周りの手を借りる方法も検討してみてください。
まとめ:高齢者で一人暮らしをする親が心配…遠距離介護の方法やコツを押さえよう!
高齢者の一人暮らしの介護方法について紹介しました。遠距離介護にはメリット・デメリットがありますが、コツを押さえることでうまく続けられます。
どうしてもあなただけで介護するのが難しくなった場合は、制度・サービスを積極的に利用してみてください!
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