同居で介護をする前に考えたいメリットやデメリット|子どもにはどんな負担がある?


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
親が高齢になり介護が必要になってくると、「そろそろ同居した方がいいかな」なんて考えることが増えますよね。周りの親族に「一緒に住んであげたら」などと言われる機会もあるかもしれません。
しかし、介護での同居は、「自分の想像とは違っていた…」と後悔することも多々あるんですよ。お互いによく考えたうえで実行することをおすすめします。
まずは、同居で介護するときのメリット・デメリットや負担について確認しましょう。
記事のもくじ
同居介護のメリット・デメリットについて
親と同居をして在宅介護をすると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
同居介護のメリット
まず、同居介護のメリットをご紹介します。
- 親の体調変化に気づきやすい(とくに急変時)
- 孫に会いやすくなるなど、家族での交流が増える
- 「なるべく家で過ごしたい」という親の願いを叶えられる
- 親を近くで見守りたいという、子の思いを実現できる
- 自分で介護をするため、介護費用を抑えられる
- 親の住居に通うための、お金や時間が不要
- 介護サービスの評判を得やすい
親と離れての暮らしが長くなると、「せめて晩年は面倒をみて親孝行をしたい」と考える人も多いでしょう。介護での同居は、そういった思いを持った人にぴったりです。
実家が遠方だと、通うたびに交通費がかかりますが、一緒に住めばその費用も必要ありませんし、親の体調変化にも気付きやすくなります。また、家族での交流が増えるので、孫がいる場合はそれが生きがいとなり楽しい老後となるかもしれません。
同居介護のデメリット
次に、同居介護のデメリットはこちら。
- 親に、環境の変化というストレスがかかる
- 嫁姑問題が発生する可能性がある
- 子どもの肉体的・精神的負担が大きい
- 同居していることで、介護サービスを受ける優先度が低くなる
- 緊急時の対応が、子どもの責任になる
- 家のリフォームが必要になることがある
離れていた親子が再び一緒に暮らすというのは、想像よりも難しいことです。生活スタイルがあまりにも違っていて、ストレスを感じる場面も多いでしょう。
介護をきっかけに同居をしても、「思っていたよりもずっと大変だった」と、結局同居の解消をすることもよくある話です。
また、「介護可能な人」が同居していることで、介護サービスを受ける優先度は低くなります。
「介護はやっぱり大変だから施設にお願いしよう」と考えても、すぐに利用できない可能性があるのです。
同居介護は親孝行とは限らない
親の介護のために同居をする。
とてもすばらしいことですが、意外と見落としがちなことがあります。それは、「親は同居することに乗り気ではないかもしれない」ということ。
子どもは「親と暮らすのは親孝行なこと」と思いこんでいたりしますが、そうとは限りません。
とくに遠方から呼び寄せて同居をする場合、親は見知らぬ土地・見知らぬ人の中で新たに生活を始めることになります。これは、高齢者にとってはかなりの負担なのです。ですから、同居を決めてしまう前に親の気持ちをよくヒアリングすることを心がけましょう。
まずは、一ヶ月ほどのお試し期間を設けるのもいいですね。
同居で介護するときの実態とは?どんな負担が考えられる?
親を呼び寄せて在宅介護をすると、大きく分けて3つの負担が出てきます。
- 肉体的負担
- 精神的負担
- 金銭的負担
順番に説明していきます。
肉体的負担
在宅介護をすると、親の体の状態によっては、常に介助する必要が出てきます。
- 衣服の着脱
- 食事
- トイレ
- 入浴
- 移動、寝返りの介助
介助の動きは、体を持ち上げる、支える、という肉体的な負担が大きいものです。そのため、ひざや腰を痛める介護者は多くなっています。
日常の介助はそれほど必要なくても、通院や散歩につきそうために疲れがとれない、というのもよくあること。夜中に何度もトイレで起こされ、常に睡眠不足という状態も考えられます。
親が高齢である場合、自分自身もそれ相応に歳をとっているということ。介護は何年続くかわかりませんよね。肉体的な負担は介護が長期戦になればなるほど大変になってくるということも忘れずにいてください。
精神的負担
「介護疲れ」という言葉がありますが、在宅介護でのいちばんの問題は精神的負担です。
次のようなことが考えられます。
- 24時間、気が休まらない
- 自分の自由時間がない
- 親の言動に振り回される
- 他の家族や親族が非協力的
- 介護スタッフと折が合わない
在宅介護は、24時間休みがありません。
寝ている時間以外は介護と家事しかしていない、という状況にもなるでしょう。このことが、介護者である子どもを徐々に追いつめていきます。
親に認知症があれば、暴言を吐かれたり、何度も同じことを聞かれて辛い思いをすることも。
また、在宅での介護は、親、家族や親族、介護スタッフなど、さまざまな人間関係が絡んできます。
この人間関係に疲れてしまう人も、少なくないのです。
不満があっても言い出せず、介護について一人で悩むようになり、孤独になってしまいます。
金銭的負担
最後は金銭的な負担です。
介護をするために離職した場合、収入が大きく減ったり、収入は親の年金だけ、というケースもあるでしょう。
しかし、介護はなにかとお金がかかります。
このことから、経済的な不安を感じている介護の当事者は多いものです。
では、どんな金銭的負担があるのでしょうか?
バリアフリーの費用
親を在宅介護する場合、バリアフリーにリフォームすることは必須です。
どのくらい、費用がかかるのでしょうか。
ここでは一例をご紹介します。
- 手すりの設置(1か所):5万円程度
- 開き戸を引き戸へ:15万円程度
- ユニットバス:150万程度
こういったバリアフリーに対応するための工事は、補助金を利用しましょう。
補助金が出る対象者は次のとおりです。
- 50歳以上である
- 高齢者と同居している
- 要介護者または要支援者と認定されている
- 所得税法上、障害者とされている
介護サービスや日々のおむつ代などの費用
在宅介護では、かかる費用は平均で5万円程度。
内訳は、介護サービス費用が1万6千円、それ以外に日々の生活でかかる費用(おむつや食事など)が3万4千円となっています。
要介護度があがると、かかる費用も高くなる傾向があります。
在宅介護で受けられる支援
在宅介護をする上で大切な心がけは「家族だけで介護はできない」という前提をもっておくこと。
穏やかな介護生活を送れるよう、さまざまな支援やサービスを利用しましょう。
介護休業・介護休暇
家族が要介護者となったとき、休業したり休暇を取れる制度があります。介護休業は、介護と仕事を両立するための準備にあてるためのもので、復職することが前提です。
介護休業給付金といって、給与の67%が給付される制度もととのっています。
一方、介護休暇は、介護のために半日や数時間単位から取得できる休暇のこと。
介護だけでなく、書類申請や買い物といった間接的な作業にも適用されます。
- 介護休業:対象家族ひとりにつき、通算93日まで、3回取得可能。
- 介護休暇:対象家族ひとりにつき、1年に5日まで。
介護保険で受けられるサービス
65歳以上になると、介護保険を利用して次のような介護サービスを受けることが可能になります。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問入浴介護
- 訪問リハビリテーション
- デイサービス(通所介護)
- デイケア(通所リハビリテーション)
- 介護用品のレンタル
これらのサービスは、自己負担は料金の1割となっており、残りは介護保険でまかなわれます。
ただ、サービスを受けるためには、まず市町村に申請をして「要介護状態」であることを認定してもらうことが必要。
介護サービスを受ける必要性を感じたら、すぐに申請しましょう。
また、介護状態には判定レベルがあり、受けられるサービスも変わってきます。
その他に検討したい介護の民間サービス
介護保険で受けられるサービスの他にも、民間サービスを使って介護の負担を減らすのも大切です。
どんな民間サービスがあるのか、ご紹介します。
食事宅配サービス
子供の世代と高齢者だと、食べたいメニューが違い、お互いに合わせるのは難しいものです。かといって、毎食別メニューを用意するのは、子供の負担になります。
食事の負担を減らすためには、食事の宅配サービスを利用しましょう。
家事代行サービス
介護に手を取られると、家事まで手が回らなくなってきます。
そんなときに利用したいのが、家事代行サービス。
定期的に訪問してもう、単発で依頼するなど、さまざまな利用方法があります。
移送サービス
通院、買い物などのために介護タクシーを利用できるサービスです。
看護師やヘルパーに同乗してもらうこともできます。
介護用品のレンタル
介護保険を利用すれば、介護用品をレンタルすることは可能ですが、介護度の判定によっては利用できないことがあります。
そんなときは、民間のレンタルサービスを利用しましょう。
まとめ:同居で介護をする前に考えたいメリットやデメリット|子どもにはどんな負担がある?
子供にとって、親はいつまでも親ですが、昔のままではありません。
衰えていく自分のことを受け入れられず、精神的に不安定になってしまう人もいるのです。そういったことから、介護を始めると親子の衝突が多くなってしまう現実があります。同居して在宅介護することをきめたさいには、一人で抱え込まず、いろんな人やサービスに頼ることを心がけてくださいね。



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