自宅を介護リフォーム|親の介護にかかる費用とお金について徹底解説


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
あなたのご両親はお元気ですか?
今元気でも、年月を重ねるといずれは介護が必要となってくるのではないかと思います。自分たちが介護をするにしても、介護サービス施設を利用するとしても必ずお金がかかります。親の介護に一体どれだけのお金がかかるのか、きちんと知っていますか?
その時になって困らないためにも、今回は自宅で介護する場合、何にどれくらいのお金がかかるのか詳しくお話していきます。
記事のもくじ
親の老後|介護の選択肢
親の老後、人の手が必要となった時、大きく分けて3つの選択肢があります。
- 自分達兄弟姉妹で介護をする
- 自宅にて訪問介護士などに来てもらう又は週に数回デイサービスなどに通う
- 老人ホームなどに入所する
1と2を選んだ場合は、主な活動範囲は自宅となります。
自宅の内装や要介護状態などにもよりますが、多くの場合手すりや介護ベッドなどの介護用品の購入および設置、おむつなどの介護消耗品が必要となってきます。自分達で面倒を見るとなると、もしかすると仕事を辞めなければいけなくなるかもしれません。
また、訪問介護士やデイサービスなどをお願いした場合は、利用日数などに応じて当然お金がかかってきます。
3の老人ホームなどを選んだ場合、基本的には月々、又は年単位で入所料の支払いが必要になります。
現在は比較的安い、年金で入所できる老人ホームもありますが、年に数百万もする高級老人ホームや医療施設の整った老人ホームなど多彩な選択肢が用意されています。
今回は主に1と2の自宅での介護を前提にした場合、介護用品や消耗品がどれほどかかるのかという部分を詳しく紹介していきます。
自宅を介護リフォーム|どれくらいの費用がかかる?
それではまず介護をするにあたり、より住みやすく安全にするためのリフォームについて紹介していきます。
まず、ご両親の様子やご自宅の様子でどれほどのリフォームが必要かが大きく変わってきます。そのためもっと安くで済む可能性もありますし、もっとかかる可能性もあります。
自分たちの親と家に合ったリフォームを検討してみてください。
玄関
家の出入り口であり、かなり負担のかかる場所になります。
玄関に段差がある場合は、転倒の可能性を下げるために段差を埋めたり、車いすで生活するのであればスロープの設置も検討する必要があります。
玄関のドアも棒状であったり軽いものに変更し、開け閉めをしやすくする、また靴の脱ぎはきの時に片足の体勢だと転倒の恐れがあるので腰を掛ける椅子などを用意する必要があります。
段差の撤去やスロープの設置 | 2~45万円 |
手すりの設置 | 1,5~13万円 |
腰かけ(ベンチの設置) | 2,5~7万円 |
玄関ドアの変更 | 20~60万円 |
これらが玄関リフォームの主な相場になります。
手すりなどであれば、自分たちで購入、設置をすればかなり安くすることが出来ます。
しかし、玄関が狭く腰かけなどを設置してしまうと活動できる範囲が狭くなってしまい逆に転倒やけがの可能性が高くなります。玄関が狭い場合は玄関を広くするリフォームなどが必要になる可能性もあります。
また、雨などで濡れた時に滑りやすい床材だった場合は滑りにくい素材に変えることもあるようです。
廊下や階段
ここも日々生活をするうえで必ず通る場所ではないでしょうか?必ず通るからこそ、しっかりと安全を確保したい場所です。
余りに狭い場合で車いすを必要とするのであれば廊下の幅を広げる必要が出てくるでしょう。そして室内で転倒することが多い事案として、廊下から部屋に入るときの段差が多いのを知っていますか?
あんな少しの段差で?と思うかもしれませんが、ある程度の段差は日々意識して足をあげますが、小さくつまずくわけがないと思っている段差こそ油断を誘い危険なのです。この段差の撤去もできるのであればしておいた方がいいでしょう
廊下の拡張 | 40~100万円 |
手すりの設置 | 1~15万円 |
段差の撤去 | 1~15万円 |
階段の場合、滑りにくいマットなどを引くというのもかなり有効な手段です。
このマットなどは、もちろん工事をお願いすることもできますがホームセンターなどで自分で購入してもいいと思いますよ。
トイレ
トイレは、リフォームの値段が高額になりやすいですが、避けては通れない場所です。
元々狭い場所であるトイレは開き戸(ドアを開けた時、ドアがトイレの中になる)の場合は、それでも狭いトイレがもっと狭くなってしまうので引き戸(ドアを開けた時に、ドアがトイレの外になる)に付け替えることがおすすめです。
昔ながらの家の場合トイレが和式という場合もあるでしょう。
介護が必要となった状態で和式のトイレではかなりしんどいです。この場合はほぼ確実に取り換える必要があると思っておいてください。
また、トイレが寝室やリビングから遠い場合移動又は増設を検討する必要があります。
ドアの取り換え | 4〜30万円 |
手すりの設置 | 2〜18万円 |
洋式トイレに変更 | 15〜57万円 |
段差の撤去 | 0,2~15万円 |
トイレ内のスペース拡張 | 10〜40万円 |
トイレの増設 | 40〜100万円 |
トイレの位置移動 | 30〜60万円 |
トイレの位置移動は、ほかの間取りもリフォームする場合もあるためその費用が別途必要となります。
お風呂場・脱衣所
日本人にとって湯船につかる瞬間というのは至福の時です。それと同時に、命の危険が多く伴う場所でもあります。
自宅での介助に不安がある場合は入浴介助やデイサービスなどで入浴をしてもらう事も可能なので、そちらも合わせて検討してみてはいかがでしょうか?
お風呂場をリフォームする場合はまたぎやすい浴槽、滑りにくい床材などを選んでください。また、高齢者の家庭内で起きる事故の一つとして浴室、浴槽内、脱衣所などの温度差による脳梗塞や心筋梗塞などの事例があります。
そのため、できるだけ温度差をなくす工夫が必要です。浴室暖房や小さなヒーターがあるだけでもかなり違うのでそちらの購入や設置も検討してみてください。
段差の撤去 | 5〜28万円 |
手すりの設置
(ユニットバスの場合) |
0,5~5万円 (0,4万円~) |
床材の変更 | 4〜20万円 |
暖房乾燥機の設置
(ユニットバスの場合) |
9~25万円 (3万~) |
ドアの交換 | 3〜20万円 |
ユニットバスへの変更 | 65〜150万円 |
浴室の拡張 | 15〜250万円 |
その他:介護ベット、食器など
そのほかにも、
- 介護ベッドの購入の検討
- 転倒防止の手すりをベッドに設置
- バリアフリー食器
- 歩行器
などこまこまとした購入品が必要となります。
食器などは1つ1つはそれほど高額ではないものの、全てをそろえるとなればそれなりの金額になってきます。そしてこれらもただ買い揃えればいいというものではなく、自分の両親がどこまでできて何が出来ないかを見極めて買いそろえる必要があります。
最近では購入だけではなく、レンタルという選択肢も多くあります。
中にはレンタルが出来ず購入一択の物があるのは事実ですが、金額を抑えるという観点ではレンタルできるものはレンタルを利用して、どうしても難しい物だけを購入とするとかなり費用を抑える事が出来ますよ。
介護リフォーム平均金額
もちろんこれらを全てやらなければいけないわけではありませんが、これ以上を必要とされる場合ももちろんあります。
介護リフォームをした場合の平均費用は300万円ほどと言われています。もちろんこの金額を支払えたとしても、これから月々掛かってくる金額もあると思うぽんと出せる方は少ないのでないでしょうか?
無理!できない!という方もいるでしょう。しかし、老人ホームにお願いしようと思うとそこでもそれなりの金額がかかってきます。
そんな時、ぜひ利用して欲しいのが、介護保険です。全てに使える、誰でも使えると言う訳ではありませんが、条件を満たせばかなり手助けになる制度があります。後ほどそちらを紹介します。
『動画あり』親の介護にかかるお金|介護消耗品
日々の介護には必ず消耗品が出来ます。
歯ブラシや衣類は勿論、案外忘れられるのはおむつや尿パッドです。赤ちゃんの時とは違い、サイズも大きく値段も高くなるおむつは、尿パッドを引いて節約をすることもできますが、どうしても日々購入しなければいけないものになります。
それから、医療費。
もちろん健康であればいいのですが、高齢になればどこかしらに病を抱えていてもおかしくはありません。それらが保険適用であればいいですが、時には保険適用外の薬を出される場合もあります。
また、日本は災害大国ですから、もしもの時を想定して非常時の持ち出しや災害時の準備も必須です。特に高齢者の場合、通常の災害セットや備蓄品以外に用意しておかなければいけないものもあります。自宅で介護をする場合の、災害時の対策についても合わせてご覧ください。
親の介護にかかるお金については動画でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
介護保険制度を利用してお金の負担を少しでも減らそう
介護保険制度とは、介護が必要な人に対して介護費用の一部を給付してくれる制度です。
私達は毎月お給料をもらう際に、実際のお給料から保険代や税金が引かれていますが、40歳からは介護保険料というものを追加で支払っています。それらのお金から給付を受ける事が出来るのです。
給付を受けるにはいくつかしなければいけないことがあります。
給付を受ける事が出来れば対象の介護サービスを受ける場合自己負担が1割になります。
介護保険制度とは?
先程もお伝えしましたが、介護保険とは介護が必要な人に対して介護費用の1部を給付してくれる制度の事です。
つまりは介護が必要な人を家族や地域社会全体で支えていくための仕組みです。介護保険制度の特徴は3つあります。
- 介護保険を利用している方の自立支援を目指す
- 自らが選んだサービスを受ける事が出来る
- 社会保険方式(給付と負担が明確である)を採用
そしてこの制度を支えているのは保険者・被保険者・サービス提供事業者の3人です。
- 保険者
市町村及び特別区 - 被保険者
40歳以上の介護保険料を支払ってる人(現在40歳以上全員に負担義務があります) - サービス提供事業者
介護サービスを提供してくれるデイサービスや介護士
この3人によってこの制度は運営されています。
介護保険の給付金は誰が払ってるの?
介護保険の約50%は、被保険者の収めている保険料です。残りの50%は、国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%を負担しています。
そしてこの被保険者には、第1被保険者と第2被保険者がいます。
これらは年齢によって分けられています。
第1被保険者は65歳以上
第2被保険者は40~64歳の方です。
そしてこれらの方が介護保険制度の対象となります。
つまり介護保険を支払っていない39歳以下の人は支払い義務もない代わりに制度の対象外になります。もちろん介護保険料を支払っていても必ず介護保険を受けられるわけではありません。
ここからまたいくつかの条件が出てくるのです。
第1被保険者(65歳以上)
ここに該当する方の条件は 要介護、要支援状態である事、この1点です。
65歳以上であれば申請をして、要介護、要支援状態と認められれば介護保険を利用することが出来るのです。
第2被保険者(40~64歳)
第2被保険者の方は指定されている特定疾患であることが条件とされています。
- 末期がん
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 脳血管疾患
- 関節リウマチ
- 慢性閉塞性肺疾患 など
末期がんや関節リウマチなどの加齢が原因の特定疾患が原因で要介護、要支援状態であることが条件となっています。
介護保険を利用するには?
それでは実際に介護保険を利用するための流れをご紹介します。
介護保険は医療保険のように、会計の時に自然と料金が引かれている…と言う訳ではなく、市区町村などで申請が必要です。少しめんどくさいですが、申請を行うと介護保険を利用することが出来るので、ぜひ申請をしてみてください。
要介護認定を受ける
まず、どの程度介護が必要かというものを判定してもらう必要があります。
判定を貰うためにはまず、あなたの住んでいる市区町村の介護保険担当窓口に申請を出します。
すると認定調査員が自宅に来て、生活状況や身体機能のチェックを行い、どれくらいの介護や支援が必要なのかを判断しその後1か月程度で認定結果が出ます。
なぜ要介護認定が必要かというと、どれほどの介護や支援を必要としているかをしっかりと見極め、必要度に合わせて受ける事が出来るサービスが変わるからです。
つまり、介護の必要性が高い人ほど手厚いサービスを受ける事が出来ます。
要介護認定をもとにサービスを受ける
要介護認定結果が届けば、その結果に合わせて介護サービスを受ける事が出来ます。
介護認定結果がでて、要介護・要支援となった場合は上限20万までの工事に対して補助金が支給されます。
住宅改修費(介護リフォーム費)
住宅改修費が支給されるには6つの要件があります。
- 利用者が要介護認定で要支援又は要介護と認定されている
- 改修する自宅の住所が利用者の被保険者証の住所と同じであり、利用者が実際に居住している
- 利用者が福祉施設に入居中又は病院に入院中ではない
- 支給は1人1回20万円の工事まで
(一度全額支払った後で市区町村から改修費の7~9割が給付) - 住居路登録地の住所に月原則1回の支給
(ただし、1つの住宅に要支援、要介護者が複数いる場合(夫婦など)理利用者ごとに支給限度額が設定され重複工事でなければ申請が出来る) - 要介護度が3段階以上上がった場合、1人1回だけ再び20万円までの給付が受ける事が出来る
とかなり細かく決められています。
住宅改修費は原則として要支援、要介護者が居住していることが条件となっています。ただし、退院に合わせて改修工事をしたいなどは相談できるので、一度市区町村を訪ねてみてください。
まとめ:自宅を介護リフォーム|親の介護にかかる費用とお金について徹底解説
今回は介護をする場合の介護リフォーム費用と介護保険により重点を置いて親の介護にかかるお金についてご紹介しました。
親も私達も必ず老いて、人の手を借りないと生活できないようになります。もちろんプロに任せるというのも1つの選択肢であり、良い判断だと思います。
しかし、赤子から育ててくれた両親です。住み慣れた家に出来るだけ長く住んで欲しいと思う部分もあるのではないでしょうか?
今回ご紹介したものは一定の条件を満たせばだれでも受ける事が出来る制度です。それ以外にも介護に力を入れている地域では、その地域限定のサービスや給付を受ける事が出来る場合もあります。
介護にかかるお金やリフォームについてご不明点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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