「呼び寄せ介護に必要な手続き』同居?近居?サ高住?注意点や配慮することについて解説


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
- 故郷で一人暮らしをしている親に病気が発見された
- 認知症の疑いがあり心配
- 一人暮らしをしている親、両親の体力面が気になる
などの親の体調や年齢がきっかけで離れて暮らしている親に自分の元へ転居をしてもらい、必要に応じて親の介護をすることを「呼び寄せ介護」といいます。
呼び寄せ介護といっても選択肢はさまざま。主に
- 自分と同居をする
- 自分の家の近くに住んでもらう
- サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居をしてもらう
などの方法があります。
そこで今回は、呼び寄せ介護をする親に対しての注意点や配慮のしかた、親の住民票や介護保険の手続き方法などをご紹介いたします。
介護の必要性の度合いは?親の呼び寄せ介護をどの環境で行うのか?
親の介護を近くで行えると、体調や毎日の様子を把握することができて安心感を得られます。
しかし親の介護は、現状では必要な状態なのかの見きわめが必要であり、ライフスタイルの違いなどの理由によっては、介護をする場所や環境を考える必要が出てきます。親の性格や考え方、日頃の行動力なども考慮をしながら決めていきましょう。
- 同居による呼び寄せ介護
- 自分の家の近くに住んでもらって介護を行う(近居)
- サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居をしてもらう
環境別、呼び寄せ介護について詳しくみていきましょう
1.同居による呼び寄せ介護
離れて暮らしている親を自分の家へ呼び寄せて同居をしながら介護をすると安心感を得られますが、高齢者との同居生活は介護だけではなく、毎日の生活での気遣いや時にはお互いに我慢をしなくてはいけなことも発生します。
『同居』呼び寄せ介護のメリット
- 同じ屋根の下で生活をして親の側にいられるのでコミュニケーションが取りやすい
- 親の体調の変化に目が届きやすくなるので対応しやすい
- 家賃や実家の維持管理が抑えられる
- 帰省の手間や費用がかからない
『同居』呼び寄せ介護のデメリット
- 親にとって住み慣れた土地からの引っ越しなので精神的な負担がかかる
- 新たな環境での人間関係の構築や慣れを作り出すのに時間がかかる
- 同居家族との生活スタイルのずれによるストレス
- 介護による家族の負担や嫁姑問題が生じる可能性がある
- 24時間親の介護のつきっきり状態になる場合、自分の仕事やプライベートに影響が出る可能性がある
2.近居で呼び寄せ介護をする
重い介護が必要ではなく、ある程度自分で生活ができる親であれば自分の家の近隣に住んでもらい、自分は働きながらその家へ通い、親を介護するという方法が可能になるでしょう。
『近居』呼び寄せ介護のメリット
- 親の体調や様子を把握しながら自分の仕事やプライベートを両立することができる
- 自分と親の生活スタイルが保たれながら介護をすることができる
- 近すぎず遠すぎない「ほどよい距離間」がお互いを干渉しすぎない
- 親の体調の変化や呼びかけに対応することができる
『近居』呼び寄せ介護のデメリット
- 同居での呼び寄せ介護に比べて親の異変に気が付きにくい
- 必要に応じて家賃や親の生活に必要な維持管理費がかかる
- 生活リズムの違いなどによる突然の訪問の可能性がある
3.サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)へ入居
サービス付き高齢者向け住宅とは、マンションのような完全個室型の部屋で生活相談員が常駐し、食事のサービスなどが充実している住まいのことをいいます。
同居や近隣に住むことによる呼び寄せ介護ではなく、自分の家から近隣にあるサ高住に住んでもらいそこへ通う呼び寄せ介護があります。同居・近隣に住む呼び寄せ介護は難し場合、親が自力で生活ができる健康状態であればこのような施設での呼び寄せ介護も可能となります。
『サ高住』呼び寄せ介護のメリット
- 外出、外泊が自由なので自分たちが親の様子を見にいくことができる
- 掃除・洗濯などの家事代行サービスが充実しているので安心できる
- バリアフリー仕様の部屋構造だから歩行の怪我を避けることができる
『サ高住』呼び寄せ介護のデメリット
- 本格的な介護が必要になった場合は、自分たちで訪問介護やデイサービスを見つけ契約しなければならない
- 重度な介護が必要になった場合、施設を移動しなくてはいけない。
- 人付き合いが苦手な親にとっては生活空間が個室とはいえ、マンションのような作りの施設は精神的なストレスを抱える可能性がある
リロゲーションダメージとは?精神的なダメージを避けるために
「リロゲーションダメージ」とは、自分が住みなれた場所や環境から転居をしたため生活習慣や周りの環境の変化についていけないため、心のバランスが崩れ身体にストレスを抱えてしまう状態をいいます。
年齢を問わず起こりうる状態ではありますが、特に高齢者は不安や混乱などを感じやすく、そこから今まで症状がなかった高齢者でも認知症やうつ病をひき起こす可能性があるといわれています。では、リロゲーションダメージへの予防や対処法は何があるのでしょうか?
『リロゲーションダメージ』の予防、対処法
①数日間でもいいので転移先での生活を事前に体験をしてみる
②新しい環境で自分だけの場所や落ち着ける環境を作ってあげる
③今までの生活習慣を大きく変えずに生活できるようなサポートをする
④「自分は新しい環境でも社会に役立っている」と感じてもらえるようなサポートや本人ができる範囲での役割をお願いする
親が自分のそばへ転居をしてくれたのに孤独を感じてしまうのは悲しいことですね。できるだけ孤独を避けてあげながら、親の心が休まるような環境を整えてあげましょう。
呼び寄せ介護に必要な手続きとは
呼び寄せ介護ということは「引っ越しをする」ということになります。必要な手続きを怠ると転居先での介護サービスを受けることができません。介護認定を受けるのかどうかも検討しましょう。
介護認定を受けるために必要な手続き
介護認定を受けるためにはまずは自分の住民票登録地を確認しましょう。
呼び寄せ介護のために今の所在地から転居をする場合でも、介護保険の手続きには住民票に登録をされている市区町村が窓口となります。その際は各役所にある申請書と「介護保険被保険者証」と「主治医意見書」が必要になります。介護認定には1か月~くらいの期間がかかります。介護が必要になった際は早めに手続きをしましょう。
自宅と同じ市区町村へ転居の場合
現在住んでいる市区町村内での転居の場合、住所変更をするための「転移届」の提出をしましょう。新たな住所が明記された「介護保険被保険者証」が交付されます。
この手続きを済ませることによって転居前に受けていた介護サービスの内容は継続されます。
別の都道府県・市区町村へ転居の場合
現在住んでいる場所から他の都道府県・市区町村へ転居する場合は、今住んでいる自治体と転居先の自治体の両方で「介護保険」と「介護認定に関する」手続きが必要となります。
現在住んでいる自治体での手続き
1.転居前に役所へ「介護保険被保険者証」を返納し、資格喪失手続きを行う
2. 介護保険被保険者証の代わりとして「介護保険受給資格証」が交付される
(転居先で新たに介護認定を受給するために必ず必要になります)
転入先での自治体での手続き
1.転入した日から14日以内に住んでいた先で交付された「介護保険受給資格証」を転入届と一緒に提出、もしくは転入届を提出したあとに「介護保険受給資格証」の申請をすると転居先での介護認定が継続されます。
(申請期間の14日を過ぎてしまうと転入先で新たに介護認定の申請が必要になるため、認定されるまで期間がかかってしまいます)
やっぱり呼び寄せ介護は難しい?見守りサービスの検討を
呼び寄せ介護を成功させるためには、親と子、双方の同意が必要になります。離れて暮らす親を呼び寄せて介護をしたい想いはあるけれど、それが叶わない場合、せめて親の安否をしっかり確認できるサービスやツールの導入を考えてみてはいかがでしょうか。
以下では、見守りサービスについてまとめています。あわせてご覧ください。

月額1万円から見守りサービスを行なってくれる『心託サービス』もおすすめですよ。
まとめ:「呼び寄せ介護に必要な手続き』同居?近居?サ高住?注意点や配慮することについて解説
自分の目が届かない、遠く離れた場所に親が住んでいると心配になってしまい、体調の変化や患っている病気に対してすぐに対応してあげたくなりますよね。しかし、呼び寄せ介護とは、必ずしも親が望むことではないようです。
すでに構築されている人間関係やコミュニティ、住みなれた場所と勝手知ったる我が家を離れ、新たな場所で新たな人間関係を築くということは年齢に関係なくストレスを抱えることです。
呼び寄せ介護が親と子どもにとって有効であるならば、自分の配偶者と子どもを交えてよく話し合い、慎重に判断をしましょう。また、呼び寄せ介護をする際には介護サービスをスムーズに継続するために役所での手続きを必ず行いましょう。

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