意外と知らない!忌中と喪中の期間や過ごし方や控えることについて


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
喪中ということばは聞いたことがあっても、忌中については聞きなれない人も多いのではないでしょうか?
どちらも家族や親戚が亡くなった後に、身を慎んで過ごす期間のことをさします。しかし、厳密には、忌中と喪中の意味は異なり、それゆえに、その間の過ごし方も微妙に違いがあります。
ここでは、忌中と喪中の意味の違いや期間、その間の過ごし方についてまとめてみました。
記事のもくじ
忌中と喪中の違い
近親者が亡くなったとき、一定の期間、身を慎んで過ごすことを「喪に服す」あるいは「忌服」といいます。
- 「忌服」の忌は忌中のことで、死を忌み、慎みこもること
- 「服」は喪服を着る期間(喪中)のこと
このように、忌中も喪中も、近親者の死後、一定期間、身を慎んで過ごすことではありますが、その意味合いや、期間は異なっています。
忌中とは
忌中は「きちゅう」と読み、神道の考え方と深く関係しています。
忌中の「忌」の文字は、「忌(い)まわしい」とも読み、”不吉”という意味です。神道では、「死」は、「穢れ(ケガレ)とされ、忌み嫌うべきものとして扱われているのです。
忌中とは、このような神道の考えに基づき、身内が亡くなった家の者が、死による穢れを家の外に持ち出さないように、家にこもってすごす期間のことでした。家族の死を悼むのは当然のことですが、それだけなく、穢れを周りに移さないという、周りへの配慮から設けられた期間でもあります。
現在では、家にこもるという風習はなくなりましたが、神道だけなく、仏教や、キリスト教でも、故人を悼み、行動を慎む期間として、捉えられるようになりました。
忌中はいつまで?
宗教によって、忌中の期間は異なります。
神道 |
死者は死後50日間は霊体の状態で、50日目に行われる五十日祭の儀式によって、守護神となると考えられています。この五十日祭までが忌中となります。 |
仏教 |
死者がまだ成仏せずにさまよっているとされる49日間のことを指すことが多いようです。 |
キリスト教 |
人が亡くなることは、神に召されることで、忌み嫌うものと捉える考え方を持たないキリスト教には、忌中の概念自体がありません。しかし、現在の日本では、日本の風習に合わせ、死後1カ月後の召天記念式や死後30日目の追悼ミサまでを忌中として慎む期間とすることが多いようです。 |
かつて明治7年に公布された法令によれば、忌中、喪中の期間は、亡くなった方との関係によって細かく決められていました。しかし、昭和22年に、この法令は廃止されて、現在は法的に決められた期間は、ありません。
また、亡くなった人が父母や配偶者など近しい人でなく、同居もしていなかった場合は、上記よりも短い期間を忌中とすることもあります。
喪中とは
一方の喪中も、一言で言えば、「故人の死を悼み、慎んで暮らす」期間です。
忌中が、故人の死後、死の穢れをはらうための期間であり、穢れを他の人にうつすことのないように家にこもる期間のことであったのに対し、喪中は、故人を悼み、喪服を着て過ごし、慎んで過ごす期間でした。
忌中同様、法令で期間が定められているわけではありませんが、亡くなった日から1年間、あるいは、一周忌が終わるまでの期間を指すことが多いようです。ただ、故人との関係により、1年よりも短い期間とすることもあります。
現在では、1年間喪服を来て、過ごす風習はなくなりましたが、お祝い事を控え、慎ましく暮らす期間であることには変わりありません。
忌中と喪中の過ごし方、控えること
昔は、忌中は、家族の死によって『穢れている状態』であり、家の外に出ることは許されず、人に会うことも禁じられるなどの厳しいしきたりにそって過ごすのが当たり前でした。
当然忌中期間は、仕事や学校へ行くこともできませんでした。
また、忌が明けてた後も、命日より1年間は喪中であり、喪が明けるまでは、忌中と同じように、お祝い事は控え、喪服を着て慎ましく暮らすのがよいとされてきました。しかし、現在は、法令により定められた決まりはなく、昔に比べて、かなり簡略化されるようになってきました。とはいえ、現在でも、忌中や喪中に控えるべきと一般的に考えられていることはあります。
では、具体的に、何を控えるべきなのでしょうか?
忌中や喪中に控えるべきこと、注意すべきことをみてみましょう。
自宅の神棚へのお参り
自宅に神棚があり、日々お参りしている方もいるかもしれません。
しかし、神道では、死は穢れ(ケガレ)とされていることから、忌中は神棚を封印し、忌が明けるまではお参りは控えなければなりません。これは、神様に穢れを近づけないためであり、忌中は神棚にお札や半紙を貼って、触れないようにしておきます。
忌が明けた後は、神棚のお札や半紙を取り払い、喪中であっても神棚にお参りできるようになります。
神社へのお参り
同じ理由から、忌中は、神様の領域である神社に参拝することはタブーです。忌中に神社を訪れることは、穢れを持ち込むことになるからです。
安産祈願や、お宮参り、七五三、成人式など、人生の節目には神社にお参りする人が多いと思いますが、忌中はこれらの参拝も控えましょう。忌明け後の喪中では、神社に参拝すること自体は問題ありません。ただし、お祝い事はなるべく避けることがよいとされていますので、七五三、成人式のお祝いについては、親族の間で相談して決めるのがよいでしょう。
初詣も、忌中でなければ、問題ないと言われますが、晴れ着の着用は避けるべきでしょう。ちなみに仏教では死を穢れと捉える概念がないため、忌中でもお寺へのお参りは問題ありません。
結婚式(挙式)
お祝い事の代表格である結婚式。忌中は結婚式を執り行うことは控えるべきです。喪中もできれば挙式や披露宴は控える方が良いとされます。
しかし、すでに招待状を送っており、キャンセル料が発生するなど、日程を変更することが難しい場合もあるでしょう。最近では、そのような、やむをえない事情から忌中・喪中であっても、結婚式を延期しないケースが増えています。
ただ、地域によっては世間から非常識と言われるケースもありますし、親族の間で意見が分かれることもあります。親族や相手方の家族と十分に話し合って、延期するのか、行うのか決める必要があるでしょう。
結婚式(参列)
結婚式に招待されている場合も、忌中は、辞退できるのであれば、辞退した方が良いでしょう。忌中を理由に参列を辞退することは失礼には当たりません。
しかし、故人が同居している親族でない場合では、忌中でも結婚式に参列することもあるようです。また、最近では、忌明け後は喪中であっても、結婚式に参列する人も増えています。
新年のお祝い
忌中、喪中ともに、門松や鏡餅などの正月飾りは控えます。
正月飾りには、新年を祝うという意味合いがあるためです。おせち料理やお屠蘇も、新年を祝うための特別なものなので、忌中は控えるのがよいとされています。
お年玉も本来は避けた方がよいとされるのですが、子どもたちが楽しみにしている場合は、おめでたい柄のぽち袋をさけて、おこづかいとしてあげる分には問題ないでしょう。
年賀状
忌中、喪中は、新年のあいさつも控えます。
毎年、年賀状を出している方は、喪中はがきを送り、年賀状を送るのを控える旨を伝えていおきましょう。通常、喪中はがきは、11月末、遅くとも12月頭くらいまでには、届くように送るのがよいと言われています。
しかし、12月に入ってから、近親者が亡くなった場合は、喪中はがきが間に合いません。そのようなケースでは、年明け、松の内(1月7日あるいは15日、地方によって異なります)以降に、寒中見舞い余寒見舞いを出して、新年のあいさつを控えた旨を伝える方法もあります。
家の新築、改築、引越し
家の新築や改築、新築のための地鎮祭や引っ越しも、忌中・喪中は極力避けるのが無難と考えられています。特に地鎮祭は、神事であるため、忌中は行うことができません。
ただし、引越しについては、入学や入社、転勤などの理由で延期できない場合もありますので、現在では、臨機応変に対処される方がほとんどです。
祝賀会、お祭り、パーティなどへの出席
忌中・喪中は、お祝い事を控える期間であるため、結婚式や結婚披露宴以外でも、お酒の席や賑やかな席への出席は控えるのがよいとされています。
ただ、最近では、忌明け後は、あまり気にしない方も増えています。
旅行
死の穢れを家のそとに持ち出さないという神道の考えから見ると、忌中には旅行は控えるべきかもしれません。また、旅行は娯楽として捉えられることが多く、喪中に遊び歩いていると考える人がいないとも限りません。
しかし、故人が好きだった場所や、故人と行く予定だった場所を、故人を偲んで訪れるというような旅行もあるでしょうこちらもケースバイケースで、昔ほどこだわらない人が増えています。
お中元やお歳暮
お中元やお歳暮は、日頃お世話になっている方への感謝の気持ちを表すものです。お祝いのための贈り物ではないので、喪中であっても贈ることはできます。
喪中にお中元やお歳暮を贈る場合は、紅白の蝶結びの水引のついた熨斗紙は相応しくありません。水引のついていない無地のかけ紙を使いましょう。
クリスマス
もともと、キリスト教徒にとっては、死は穢れのような忌み嫌うべきものではなく、喪に服すという考え方はありません。欧米においては、家族の誰かが亡くなっても、クリスマスには家族で集まり、お祝いするのが普通のようです。
ただ現在の日本では、クリスマスは宗教に関係なく、家族やカップルがお祝いをして過ごす季節のイベントの一つとなっています。お祝い事という意味では、忌中では控えた方がよいとする人もいますが、あまり気にしない人も増えています。
忌中と喪中の行動様式は簡略化の傾向に
忌中と喪中の過ごし方については、上記で説明したように、現在でも、さまざまなしきたりや慣習が残っています。しかし、これらは法令で規定されているわけでなく、絶対に従わなくてならないというものではありません。
最近では、昔ながらの風習は、簡略化され、昔ほど厳密にお祝い事を控えることは減りつつあります。どう過ごすかは、故人の意志を尊重し、個々の判断で過ごし方を決めればいいという人もいます。
ただ、周りには、しきたりを軽視することを不快に感じる人もいると思いますので、忌中や喪中の行動については、トラブルを避けるためにも、親族と相談して決めるのがよいでしょう。
まとめ:意外と知らない!忌中と喪中の期間や過ごし方について
忌中と喪中の期間に関しては、忌中は49日か50日、喪中は1年間が目安と言えるでしょう。忌中と喪中は、故人を悼み、身を慎んで過ごす期間であり、お祝い事は控えるのが昔からのしきたりです。
この記事では、以下のような忌中・喪中に控えるべきと言われていることを紹介しました。
- 自宅の神棚へのお参り
- 神社へのお参り
- 結婚式(挙式と参列)
- 新年のお祝い
- 年賀状
- 家の新築、改築、引越し
- 祝賀会、お祭り、パーティなどへの出席
- お中元とお歳暮
- 旅行
- クリスマス
しかし、現在では昔からの風習は、簡略化の傾向にあり、個々の判断でどのように過ごすか決める人も増えています。大事なのは、故人を悼む気持ちであり、家族を失った悲しみから立ち直ることです。
この記事で紹介したことを目安に、ご自身の忌中、喪中の過ごし方を考えてもらえれば幸いです。


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