「忌中、喪中」とは何?言葉の意味や違いについて解説


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
忌中、喪中
(読み方:きちゅう、もちゅう)
- 忌中とは
- 喪中とは
- 忌中に控えること
- 喪中に控えること
- 忌中、喪中でも控えなくて良いこと
について解説します。
忌中とは
忌中とは、故人が亡くなった日(命日)から仏式では49日間、神式では50日間をいいます。
忌中は神道の概念で、死を穢れ(けがれ)ととらえます。近親者の死を経験した人は、死の穢れを世間に広めないように、忌中は自宅で静かに故人を悼む時期とされてきました。
忌中に自宅で身を慎むことを忌服(きふく・きぶく)といい、静かに祈ることで故人の魂が清められると考えられています。また穢れは、気枯れとも言われ、身近な人を失った悲しみにくれる人が、少しずつ日常を取り戻すまでの準備期間とも言えるでしょう。
一方、仏教では人が亡くなると輪廻転生すると考えられていて、死後49日間は冥土(めいど)と呼ばれる、この世とあの世の間をさまよっているとされています。49日目に閻魔大王(えんまだいおう)が生まれ変わる世界を決めると信じられているため、良い決定がなされるように故人のために49日間祈るのが、忌中であるとされています。
また冥土をさまよう間は穢れが人にうつって次の死者を生むと考えられていたため、遺族や親族は穢れをうつさないように、外出を控え、喪服を着て過ごすとされていました。
喪中とは
喪中とは、故人が亡くなった日(命日)から一周忌までの約1年間が目安です。
喪中には忌中の期間が含まれます。喪中は家族や親族が近親者の死を悼んで過ごす期間で、昔は喪服を来て過ごす風習がありました。喪中とは、喪に服するという意味で、喪服期間ともいいます。
現代の法律では喪中の期間が定められていませんが、奈良時代には「養老律令(ようろうりつりょう)」、江戸時代には「服忌令(ぶっきりょう)」、明治時代には「太政官布告(だいじょうかんふこく)」がそれぞれ喪中の期間を定めていました。
喪に服すのは、一般的に2親等までの親族とされます。
故人を基準にした3親等までの親族は次のとおりです。
0新等 | 夫、妻 |
1新等 | 父母
配偶者の父母 故人の子ども |
2親等 | 故人と配偶者の兄弟姉妹、その配偶者
故人と配偶者の祖父母 故人の孫 |
3親等 | 故人と配偶者の曾(ひい)祖父母
故人と配偶者の伯父、伯母、叔父、叔母、それぞれの配偶者 故人の甥、姪 |
3親等以上の離れた関係であっても、故人と同居していたり、個人的なつながりが深い場合には喪に服すこともあるでしょう。
法律的な定めはない状態なので、喪に服すかどうかは個人の自由意思で決めることができます。
忌中に控えること
ここまで見てきたように、忌中と喪中の大きな違いは、期間の長さです。ただし、忌中はより厳しく喪に服すこととされていて、忌中に控えるべきとされることは、喪中よりも多くあります。
忌中に控えることは次の8つです。
①結婚式を挙げること、入籍、結婚式の出席
②家を新築、改築すること
③神社へのお参り(初詣、安産祈願、お宮参り、七五三、成人式など)
④神事を伴うお祝い、お祭りに参加すること
⑤新年のお祝い(しめ縄や鏡もちなどの新年の飾り、年賀状、お年玉、華やかなおせち料理など)
⑥旅行
⑦引越し
⑧自宅の神棚に触れる
⑧について、忌中の間は一般的に「神棚封じ」を行うとされます。
神棚封じとは、神棚に半紙を貼って正面を封じることです。忌中に神棚に触れることが禁止されるのは、忌中の期間は穢れがあるとされるためです。
喪中に控えること
次に、喪中の期間に控えることを見てみましょう。喪中に控えることは4点で、忌中期間と比較すると、少し厳しさが和らぐことが分かります。
①結婚式を挙げる、入籍(、結婚式への出席)
結婚式については、前々から予定していたり、お相手やご家族、列席者の方や会場の予約の都合などもあるため、喪中であっても問題ないとされる場合もあります。
ご招待を受けた場合には、喪中であることをお伝えして、先方のご意向を確認するといいでしょう。
②新年のお祝い(しめ縄や鏡もちなどの新年の飾り、年賀状、お年玉、華やかなおせち料理など)
お年玉は、実際にはポチ袋の表書きを「お小遣い」「文具代」「書籍代」などとして例年と変わらず受け渡しをするケースが多いようです。
また、おせち料理に関しても、鯛や紅白なます、紅白かまぼこなどの、おめでたいとされるお料理だけを避けて、派手にならないように楽しむ方法を取る方もいらっしゃるようです。
③旅行
旅行については、喪中では控えるべきとする説と、控えなくても良いとされる説があります。
④引越し
引越しについても、喪中では控えるべきとする説と、控えなくても良いとされる説があります。
転勤や就職などでやむを得ない場合もあるでしょうし、個人の判断に任されると考えて良いでしょう。
忌中、喪中でも控えなくて良いこと
忌中や喪中では控えるとされる行動を見てきました。しかし、おせち料理を控えるのであれば、「年越しそば」はどうするのか、イベントは?などの疑問もあるのではないでしょうか。
忌中や喪中であっても控えなくて良い行事やイベントは次のとおりです。
結婚報告
通常のような華やかなはがきではなく、「暑中見舞い」や「寒中見舞い」などの季節の挨拶状に添えて報告するのがマナーとされています。
この際、喪中であることに触れる必要はありません。
年越しそば
「今年一年の厄災を断ち切る」「長寿を願う」「無病息災」など縁起をかつぐものでお祝い料理ではないため、控える必要はないとされます。
初詣
お寺へのお参りは神式にのっとるため、控える必要がありません。神社へのお参りは、忌中であれば控え、忌が明ければ問題ありません。
書き初め
年中行事の一つであってお祝い事ではないため、忌中や喪中であっても控える必要はありません。
お中元やお歳暮
お世話になっている人へのお礼や挨拶であって、お祝い事ではないため、問題ありません。
ただし、相手によっては気にする方もいらっしゃるため、忌中を避ける、またお祝いの水引を避けるなどの対応を取ると良いでしょう。
ひな祭り・子どもの日
子どもの健やかな成長を祈り、祝う日であるため、賛否両論ありますが、大々的に行うのでなければ、控えなくていいという考えが多いようです。
神道の方であれば、家族や親族の意見を聞いてみるといいのではないでしょうか。
お花見や花火大会、夏祭りなど
いずれもお祝い事ではないので問題ありません。
まとめ:「忌中、喪中」とは何?言葉の意味や違いについて解説
忌中と喪中の意味や両者の違い、それぞれの期間で控えるべきことや、控える必要のないことを見てきました。
価値観は少しずつ変わっていくものであって必ずしも全てのしきたりに従う必要はありませんが、控えるべきとされる理由や意味を理解して、状況に応じた最適な判断ができると良いですね。


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