お別れ会(偲ぶ会)とはどんなセレモニー?一般葬儀との違いや注目される背景とは


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
有名タレントや著名人が亡くなった際、「後日あらためてお別れ会を開催予定」とアナウンスされることがあります。お別れ会といえば、家族や近親者のみで密葬を済ませ、再度執り行われる式典というのが大まかなイメージです。
けれども一般的な葬儀とはどう違うのかを含め、会の流れやマナーなどの詳細をご存じの方は少ないのではないでしょうか。また同じように使われる「偲ぶ会」とはどんなセレモニーなのでしょうか。
多様な終活、葬儀のスタイルが注目される今、耳にする機会が増えたお別れ会(偲ぶ会)についてご紹介します。
お別れ会と偲ぶ会はどう違う?
家族や親族で故人を弔うため、一般的には通夜や葬儀を行います。葬儀そのものはあくまで内々に済ませる密葬を行った後、故人と縁のある知人や友人、会社の関係者などを集めて行うのがお別れの会です。
葬儀がある種宗教的な儀式であるのに対し、お別れ会は社会的な意義を持つ「告別式」の要素が強いのも特徴です。宗教的な意味が薄いため、型にはまらない自由なスタイルで開催されます。
故人の思い出や足跡を偲び、語らう場として開かれるのがお別れの会です。呼称も、偲ぶ会、送る会などバリエーションに富んでいますが、お別れ会と意味は変わりません。
企業の代表や著名人、芸能人など、名を知られている人が亡くなった際、その死は社会的にも大きな影響を与えます。死を悼む関係者やファンも多く、広くその死を知らせ、悼む場としてお別れ会・偲ぶ会が必要でした。例えば、企業の経営者であれば、会社の未来を託す後継者をアピールする意義もあります。芸能人の場合は、ファンのために会を開催しているといえます。
ただ近年、葬儀スタイルそのものが変わりつつあります。
直葬や家族葬などを含め、旧来の型にとらわれないセレモニーを選択する人も増えてきました。そのため、著名人でなくても「お別れの会」を開催するケースも目立ち始めました。人数も数十人から多くて数百人程度の小~中規模の会が増加傾向にあります。
お別れ会のスタイルには3つのパターンがある
お別れの会は、故人や遺族の希望に寄り添った、自由なスタイルが基本です。一般的には次のような形式を取ることが多くあります。
1.セレモニースタイルのお別れ会
自由なお別れ会の中でも、葬儀に近いスタンスなのが、セレモニースタイルとなります。
無宗教であっても、正面に生花祭壇などを設置し、いわゆる葬儀や告別式の形式に近い方法で行われます。故人の足跡や経歴を紹介し、弔辞スピーチを交え、参列者が献花をする流れで進みます。場合によっては、読経をするケースも。
2.パーティスタイルのお別れ会(会費制)
会費制で、会食を中心に行うのがパーティスタイルのお別れ会です。
はじめに黙祷や献花などのセレモニーを行った後、立食のブッフェスタイルで飲食を伴うのが一般的です。会食中に弔辞スピーチが行われたり、故人のエピソードトークなどが盛り込まれたりします。ホテルなどで開催される場合も少なくないため、儀式的な側面は薄くなります。
3.法人のお別れ会(社葬・団体葬など)
企業や団体が主催となって執り行うお別れの会です。企業としての将来や後継者を披露するなどの意義を持ちます。
その他、1と2のスタイルを組み合わせて行われるお別れ会も増えています。故人の好きだった音楽や歌を流したり、故人の動画を上映したりと遺族や主催者の趣向や希望を反映させた自由なスタイルをセレクトできるのが、お別れの会・偲ぶ会の利点の1つです。
お別れ会(偲ぶ会)の費用相場はどのくらい?
会費制を採用した場合、会費✕人数となります。
会費の目安は1万~2万円前後が一般的です。
ただお別れ会(偲ぶ会)の費用は、会場規模や立地、料理のランク、オプションのサービス等によって大きく異なります。会の趣向によっては高額になることも心にとめておくといいでしょう。
お別れ会(偲ぶ会)の流れ
自由なスタイルが特徴のお別れの会・偲ぶ会ですが、一般的には次のような流れで進められます。お別れの会・偲ぶ会の形式や会場によっては順番が前後します。
1.受付、参列者入場
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2.開会のアナウンス
式典を重視するお別れの会であれば、黙祷、献奏、弔辞、弔電拝読などの儀式を開会後に行います。式典を簡素化する際には、すぐ3.献花に移ります。
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3.献花
献花台に花を供えます。
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4.黙祷
献花の後の他、開会時に黙祷を行う場合もあります。
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5.会食
式典会場とは別のスペースで会食を取ります。会食の間に故人の思い出や経歴を紹介します。
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6.遺族のお礼、閉会
参列者に向け、遺族がお礼、会を締める言葉を述べます。
一般葬儀とお別れ会(偲ぶ会)の違い、異なる点とは
故人を送る場であり、遺族や親しい人達が同じ時間を過ごすという面では、一般葬儀もお別れ会(偲ぶ会)も近い意味を持っているといえます。
ただ、厳密にはそれぞれカラーに異なる点も多くあります。一般葬儀とお別れ会(偲ぶ会)の相違点を比較してみました。
主催者
葬儀 | 喪主(遺族) |
お別れ会 | 親しい知人や関係者の場合もある |
葬儀の場合、主催者、つまり喪主は遺族です。
お別れの会も遺族が主催者となるケースは多々あります。一方で、親しい知人や関係者が相談し、集まって発起人となり、主催者となる場合もあります。
日程(スケジュール)
葬儀 | 亡くなった日の翌日にお通夜、翌々日に葬儀
(葬儀場などのスケジュールにより多少のズレはあり) |
お別れ会 | いつまでに開催しなければならないという決まりはない |
一般的に、亡くなった日の翌日にお通夜、翌々日に葬儀が執り行われます。葬儀場や火葬場のスケジュールにより日程がずれることはあります。特にルールがあるわけではなく、遺体の損傷や保管場所などを考慮すると、ある程度早めに行わなければなりません。
お別れ会は「いつまでに開催しなければならない」と決められていません。ただ、人の記憶はすぐに薄れてしまいますから、故人を思い出してもらうためにはお別れの会の開催を早めに周知しておく傾向にあります。
お別れ会を社葬として執り行う際は、葬儀から1カ月後、四十九日までというように、一般的な葬送の日程を意識して区切りをつけることが通例になっています。1周忌や故人の誕生日などにお別れ会が開催される場合もあり、明確なルールはありません。
場所
葬儀 | 自宅
セレモニーホール(斎場) |
お別れ会 | 斎場
ホテル 個人ゆかりの場所 |
葬儀は自宅やセレモニーホールなどの斎場で行われるケースがほとんどです。
お別れ会は葬儀と同様、斎場で行ったり、ホテルなどで開催されたりすることが多くなっています。
パーティスタイルのお別れ会では、ホテルが選ばれるようです。斎場やホテル以外に、故人ゆかりのお店などを貸し切って行う会もあります。
有名人では、映画『男はつらいよ』で知られる俳優・渥美清さんのお別れの会は、神奈川県鎌倉市にある大船撮影所で行われ、話題になりました。また一般人でも、音楽好きの故人が愛したライブハウスで偲ぶ会を行った例もあります。
服装
葬儀 | 喪服 |
お別れ会 | 「喪服で」と明記されていない場合、平服での参加でOK |
葬儀には喪服を着用するのがマナーです。一方、お別れ会・偲ぶ会は主催者の考え方で服装も変わってきます。「喪服で」と明記されていなければ、お別れ会や偲ぶ会では、平服での参加が許されます。
とはいえ、一般常識に照らして考え、カジュアルな服装や必要以上に華美な服装は控えるのがマナーです。またホテルなどで開催される場合は、宗教色を出しすぎるのは敬遠されます。黒のネクタイや喪服はNGとされますので、確認しておきましょう。
葬儀とは異なり、セレモニー色が薄い自由な内容が特徴のお別れの会。ただ、社葬や団体葬では、ある程度ルールやマナーはあると考えておきましょう。案内状に「平服で」と書かれていなければ、喪服で出かけるのが無難です。
香典などのマナー
葬儀 | 香典持参 |
お別れ会 | 会費制なので会費を持参
*案内状に『香典辞退』と書かれていない場合は、念の為、不祝儀袋を持参しましょう |
葬儀に参列する際に持参する香典。ですが、ほとんどのお別れの会・偲ぶ会では会費制で、会費を持参すればOKです。会費は同額を持参し、お釣りが出ないようにするのが◎。
会費制ではなく、案内状に「香典辞退」と書かれていなければ、不祝儀を持参した方がいいでしょう。
金額は1万~2万円程度、表書きは葬儀と同様の「御香典」「御香料」「御花料」などで問題ありません。
お別れ会(偲ぶ会)を選ぶメリットとデメリット
お別れの会(偲ぶ会)は、葬儀よりも堅苦しくなく、ルールに縛られることの少ないセレモニーです。故人の思いを反映しやすいなどメリットはたくさんあります。デメリットとあわせて見ていきましょう。
【メリット】
- 故人や遺族の希望を取り入れた「オーダーメイド」の温かい式にできる
- 宗教色やセレモニー色がないため、自由なお別れのスタイルを実現可能
- 急いで行う必要がないため、じっくり準備に時間がかけられる
- 故人と縁のあった人たちを幅広く招待できる
- 社葬の場合、企業として意義のあるセレモニーすることが可能
【デメリット】
- 自由に行える反面、特定の形がないため企画が大変
- 会場や規模次第で費用がかかる可能性がある
- 主催者が遺族ではない場合、より密なコミュニケーションが必要
- 場所によっては宗教色が敬遠され、焼香などができない場合も
お別れ会(偲ぶ会)とは気持ちのこもったオリジナルのセレモニー
お別れ会・偲ぶ会は葬儀と同様、故人を偲ぶ場所であり、時間を持つことです。ただ、葬儀に比べると決まりが少なく、故人や遺族の思いをより自由にかなえられるのが特徴です。
決まった形がないため、会の企画や演出を考えるのは大変な面もあります。しかし、企画を立てること自体が故人を偲ぶ時間でもあり、遺族にとっての癒やしにもなるはずです。お別れ会・偲ぶ会は、より気持ちをこめて故人を送りたい方におすすめのセレモニーだと言えるでしょう。


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