生前葬の費用相場はどのくらい?モデルケースから金額の内訳を表してみました。


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
以前は「生前葬」といえば著名人が執り行うもののようなイメージでしたが、最近は葬儀について考えることはタブーではなくなり、自分が生きているうちに葬儀を行いたいと思う方が増えてきました。
そのため「生前葬」はそんなに珍しいものではなくなってきたとはいえ、まだ少数派で前例があまりなく、費用面やどんな式が多いなどの情報は少ないのが現状です。
そこで今回は生前葬とはどういうお葬式なのか、どのくらいの規模ならどのくらいの費用が一般的なのかなどをご紹介します。
生前葬とは、本人が生きているうちにする葬儀のこと
生前というとおり、生前葬は生きているときに行う葬儀のことです。
基本的に自分自身が主催する立場になり、自分自身の葬儀を執り行います。生前葬を行う理由や目的は人それぞれで、主に次のような理由や目的が多いようです。
- 仕事からの引退、年齢的節目、大病、快復などで人生の区切りをつける
- これまでの感謝の気持ちを、お世話になった方々に直接伝える場にする
ただし生前葬を行なっても、本人が亡くなった場合は、少なくとも遺体の火葬は行う必要がありますし、遺族が喪主となって改めて葬儀を行う場合もあります。
「生前葬」という言葉からは「葬儀」をイメージしがちですが、どちらかというとお別れ会や感謝パーティーのような感覚に近い会を開かれる方が多い傾向にあります。
要は
「今まで親交があった方に、自分の言葉で感謝の気持ちやお礼を伝えたい」
「人生の区切りとして行いたい」
「自分の死後に葬儀の負担をかけたくない・減らしたい」
などの目的が多いようです。
また、余命宣告をされた方や、年齢を重ねて体の自由が効くうちに、認知症が進行する前に、会いたい人に会っておきたいという方もいらっしゃいます。生前葬については「生前葬」とは何?意味について解説 で詳しく解説しています。
生前葬の費用相場は内容によって変化する
生前葬には定まった形式はないため、内容によって費用が大きく変化します。
例えば、ある大手葬儀社に依頼し、10名程度の生前葬を行なった費用は、約50万円~100万円ほど。しかし、次のような内容によっては費用は変動します。
招待人数や会場 | 招待人数に合わせた広さの会場を用意する必要があるため、大きな会場ほど利用料がかかります。 |
食事の内容 | 料理の内容、グレードによって費用は変わってきます。
手軽なブッフェスタイルにするのか、あるいはコース料理にするのかでは、食事の費用はかなり変動します。 |
招待客へのギフトの内容 | 参列者にギフトや記念品を用意すると、その内容、金額によって費用が変わります。 |
招待客の宿泊や交通費など | 招待客の宿泊費用や交通費は、主催者が負担する場合としない場合があります。
もし負担すると、その分がプラスになります。 |
生前葬の費用の具体例
小規模の生前葬であれば30万~50万円前後、招待客が50名を超えるような式であれば200万円前後は費用相場として考えておきましょう。
以下が生前葬の総費用のモデルケースです。
内訳:レストラン貸切料金や装飾費用10万円、司会1万飲食費1万円×20名=20万円、余興3万円、ギフト3千円×20=6万円
レストランで小規模プラン 招待客20名 約40万円 | |
内訳 | 金額 |
レストラン貸切料金や装飾費用 | 10万円 |
司会 | 1万円 |
飲食費 | 1万円×20名=20万円 |
余興 | 3万円 |
ギフト | 3千円×20名=6万円 |
葬儀社のホールで中規模プラン 招待客30名約100万円 | |
内訳 | 金額 |
ホール使用料(祭壇等の生花や装飾込み) | 45万円 |
司会 | 2万円 |
飲食費 | 1万5千円×30名=45万円 |
自分史などの映像作成 | 1万円 |
余興 | 5万円 |
ギフト | 3千円×30名=9万円 |
なお、葬儀社によっては、生前葬のパッケージプランが用意されているところもありますので、そちらを利用するのもいいでしょう。
内容は基本的に自由に決められる
生前葬をどのような内容にしたいかは自由です。本人と家族で相談して納得の行く内容のものにしましょう。
以下は、生前葬の中で過去に実際に行われた企画や余興などです。
- 人生を振り返る映像やスライドなどの上映
- 主催者、招待客からのスピーチや歓談
- 主催者への贈り物
- 会場に主催者や招待客の作品展示(絵画、陶器、生け花など)
- 生演奏で思い出の曲を鑑賞
基本的な生前葬の流れ
生前葬は本人が信仰している宗教の形式に沿ってとり行うのではなく、無宗教の形をとるのが一般的です。
そのため、生前葬の流れも決まったものがなく、自由に決めることができます。ただし、基本的には下記のような流れで進められることが多くなっています。
- 開式の挨拶
- 自分の人生などをまとめた映像演出
- 親族や友人によるスピーチ
- 各種余興
- 歓談・会食
- 本人からの挨拶
- 閉式の挨拶
生前葬でも、当日までに準備が必要
生前葬の準備として、次のようなものを予め用意しましょう。前提として、家族の理解を得て家族の協力がもらえるよう、
きちんと意思を確認を。
- 生前葬の日程を決める
- 招待者、招待人数を決める
- 会場を決める
- 会食の有無と内容を決める
- 当日の内容を考える
- 業者に見積もりを取る
- 生前葬を依頼する葬儀社、ホテルなどの業者を手配
- 招待客への連絡
- 必要なら、招待客へのギフトや宿泊などの手配など
生前葬は直接、感謝の気持ちを伝えられるメリットがある
生前葬は、いくつかのメリットがあります。おおよそ以下のようなことが挙げられます。
お世話になった方々に、感謝の気持ちを直接伝える
自分の死亡後では感謝の気持ちは直接伝えられませんが、生前葬なら心を込めて伝えられます。生前葬で集まった機会に、古い仲間が集まって思い出話をするなどということも。
時間の成約がない
亡くなってからでは、遺体を火葬する日時が決まっているため、ゆっくりといろいろ決めることができません。しかし生前葬ならそういう成約はないので、日程や時間設定も自由に決められます。
内容が自由に決められる
生きている自分のお葬式なので、内容も自分で。準備から葬儀当日までの経過、進捗、結果まで一連を自分の目で確認できます。
まだ珍しいから理解を得られにくいなどのデメリットも
前例があまりないため、周囲の理解を得にくい場合もあります。
また、参列者が困惑する、実際に亡くなったら再度、葬儀が必要になり、費用が重複してかかるなどのデメリットも。家族とそのような点は事前に十分に話し合っておきましょう。
まだ珍しいとはいえ、芸能人や有名人では「生前葬」を執り行う人が多い傾向にあります。どのような方が生前葬を開かれたのかについては生前葬を行った芸能人・有名人とは|内容や目的は?終活の一環?にて詳しくご紹介しております。
まとめ:生前葬は定形がなく自由に決められるので、それによって費用も変わります。
生前葬は決まった形式がないので、自由に自分で決めることができる新しいタイプのセレモニーです。
自由に決められる分、費用は招待する人数、お料理、その日の余興や招待者へのギフトなどによって変わってきます。生前葬は、内容や会場など自分自身で、すべての準備に関わっていかなければならないという大変な部分もあります。
せっかく生前葬をするなら、招待した方の心に残る、またご自身の思い出になる生前葬を準備して行いたいですね。就活の一環として生前葬を執り行うケースもあります。終活については以下からご覧いただけます。

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