墓じまいと永代供養はどう違う?それぞれを選択する理由とは


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
少子高齢化が進み、核家族化など家族のあり方も変化しつつあります。家の跡を継ぐ子どもがいないことも珍しくなくなりました。
また子どもや孫世代がお墓のある地方を離れ、都会で暮らしているケースも多くみられます。先祖代々のお墓を守りたいものの、若い世代の負担になりたくないと考える方々も少なくないのです。
そこで注目されているのが「墓じまい」や「永代供養」といった方法です。
竹内
両者とも、お墓や終活についてキーポイントとなる言葉ですが、明確な意味をご存知でしょうか。何となく似ている2つのワードはどのようなもので、違いはどこにあるのかを解説します。
当サイト『終活の相談窓口』では、「墓じまい」のお悩みやちょっとした疑問についてご相談を受け付けております。ご相談は完全無料ですのでお気軽にお問い合わせくださいね。
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記事のもくじ
お墓自体を撤去するのが「墓じまい」
お墓を継承する人がいなくなった、金銭的な負担、健康状態の悪化など物理的な理由からから維持管理が難しくなった場合、お墓そのものを撤去するのが墓じまいです。
廃墓ともいいます。
竹内
墓石を撤去したあと、お墓のあった場所を更地にし、墓地の管理者である寺院などに返還します。
少子高齢化が進み、現在管理をする自分たちがいなくなった後のお墓の行く末を心配するひとは今後も増えていくでしょう。維持管理や供養をする人間がいなくなれば、「無縁墓」として撤去されるケースも考えられます。
先祖代々のシンボルであったお墓が無縁墓となってしまうのは忍びないものですし、お墓のある寺院や霊園などの負担になってしまいます。終活の一環としてお墓の問題を悩んでいる人たちにとって、注目の選択肢が墓じまいなのです。
改葬とはどう違う?
墓じまいと同じような言葉として「改葬」もよく耳にします。
竹内
お墓を撤去し、更地にする「墓じまい」を決めたら、納骨してあったご遺骨を今後どのように供養していくのかを考えなくてはなりません。
改葬とは、現在あるお墓をしまった後、別のやり方で供養することをいいます。イメージとしてはお墓の引っ越しに近いといえるでしょう。墓じまいを行った後、次のような形で供養する方法があります。
- お墓を管理できる親族の近くに新しい墓を作る
- 永代供養を選ぶ(樹木葬、納骨堂)
- 散骨する
- 自宅などの手元供養
改葬は、現在あるお墓をしまうことが前提となります。
そのため、墓じまいと改葬は同じような意味合いで用いられるケースも多々あるのです。
家族・親族以外がお墓を維持管理する「永代供養」
一方の永代供養(えいたいくよう)とは、供養の1つの形です。一般的にお墓は個人の家族や子孫などの関係者が守り、維持や管理をすることを指します。
永代供養の場合、管理するのは寺院や霊園などを運営する法人です。
ですから「墓じまい」の後に考える供養の方法の1つとして使われる言葉なのですね。
永代という名前から誤解を受けやすいのですが、永代供養は一代限りとなっています。家族や子孫が代々受け継いでいくお墓とは異なり、後々継続して供養される形ではありません。
永代供養を選ぶメリットとデメリット
墓じまいを行った後に永代供養を選ぶのも供養方法のあり方の1つです。注目されている永代供養のメリットやデメリットをそれぞれ紹介します。
【メリット】
- 寺院や霊園に供養を任せるので、維持管理の負担を軽減できる
- 合同墓を選べるなど、個人の墓よりもリーズナブルなことがほとんど
- 宗派や宗旨を問われないケースが多い(例外もあり)
- 寺院や霊園に供養をお願いするため、心理的な安心感が持てる
- 通いやすい立地にある場合も少なくない
【デメリット】
- 33回忌、50回忌などの区切りで合祀(他の人の遺骨とあわせて埋葬される)となり、永代供養には期限がある
- 合祀墓に一度入ると、遺骨を取り出せない
- お墓参りや法事・法要を行わなくなり、家族や親族の思い入れが薄くなる可能性も
永代供養はシンプルでわかりやすい供養方法であり、メリットもたくさんあります。
ただ、デメリットもありますので、自分たち家族にあった方法かどうか、よく吟味してから選ぶのが大切です。
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永代供養のお墓の種類と費用相場
永代供養の方法やお墓の種類は大別すると2タイプに分かれます。
- 1つは個人や夫婦のお墓など個別に供養する分骨型
- 2つめは身内以外の遺骨とまとめて供養する合祀(共同)型
です。
個別型
遺骨を個々に永代供養するのが個別型です。お墓を個別に建てるケースは少なく、納骨堂などの形で維持管理されることが多くなります。また、33、55回忌といった区切りで、合祀型のように他の遺骨と合同で埋葬されることがほとんどです。
永代供養墓のつくりや場所によって価格相場は変わります。
納骨スペースは分かれているものの、供養する場所は1箇所という個別型と合祀型との中間のタイプもあります。
合祀(共同)型
永代供養墓を管理する寺院や霊園が、一括で管理しやすいため、維持管理費が安いのが合祀(共同)型です。供養方法は管理する寺院や霊園によってまちまちで、月に1回の頻度で供養する施設もあれば、お盆、春と秋のお彼岸と年3回と決まっているところもあります。
一度合祀すると、遺骨の移動は不可です。
立地によって異なる永代供養の形
永代供養は屋内、屋外など立地や設置場所でもタイプが異なります。
屋内型
屋内にある永代供養の代表的な形といえば、納骨堂でしょう。
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納骨堂もロッカー型や仏壇のようなもの、カード式までさまざまです。木製のものから金属製まで、材質も多岐にわたります。年間の維持管理費用が別途必要になる施設もあります。
屋外型
永代供養を屋外で行う形には、次のようなものがあります。
■永代供養塔(墓)
観音像や仏塔、大きなお墓を建立、仏塔の内部や地下で供養する形。主に合祀型。
■樹木葬
シンボルツリーのような大きな樹木の周囲に遺骨を埋葬するもの、庭園のような自然な形のものまでいろいろな樹木葬があります。
■その他
山や海に散骨する自然葬などです。
浄土真宗には永代供養がない?
浄土真宗は他力本願の教えを中心とする宗派です。他力本願とは、自らが修行で積んだ功徳で成仏するのではなく、阿弥陀仏の本願(仏の力)で成仏するという考え方をとっています。
もともと成仏しているのだから、追加で供養する必要はない、つまり永代供養という考えた方がなじまない宗派でもあります。
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開祖が眠る各宗派の本山に納骨する方法、天災や戦災などで身寄りのない人を供養する供養塔を管理するお寺に納骨する、宗教を問わない施設にお願いするなどの方法が「永代供養」の代替方法となります。
それぞれの宗派や菩提寺の考え方もありますので、まずは相談してみるといいでしょう。
竹内
まとめ:永代供養と墓じまいの違い
少子高齢化で家族のあり方が変わり、ライフスタイルも多様化しています。先祖代々、守り続けてきたお墓のあり方も形を変えつつあります。時代にあった新しい供養の形として墓じまいが脚光を浴びています。
そして墓じまいを終えた後、今後の供養のあり方として永代供養という方法があるわけです。
立地や費用、負担にならずに供養を続けられる方法としてお墓のあり方を再度考える時期に来ていると言えるでしょう。墓じまいと永代供養について、あらためて検討してみる余地はありそうですね。
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