【お墓の相談ベスト3】終活を考えはじめた人が気になるお墓事情とは?


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
「終活」という言葉がはじめて週刊誌に登場したのは2009年。
それから10年以上たった今、人生100年時代をむかえ、「終活」そのものにも幅ひろい意味合いがふくまれるようになりました。とはいえ、後半の人生設計をしていくうえで、必ずぶち当たるのが葬儀やお墓の問題であることは、当時も今も変わらない事実ではないかと思います。
今回は、私が過去に、本職であるお墓の仕事で「終活関連」セミナーを開催したときに、実際に多かった質問や相談から、ベスト3をご紹介させていただきます。
お墓の相談3位|おひとりさまのお墓はあらたに用意した方がいい?
「未婚または離婚をしているため、おひとりさまのお墓はどうすればいいのか?」
という相談です。
この場合、いくつかの選択肢があります。
1 | 跡継ぎが必要のないお墓を選ぶ | 永代供養墓 納骨堂 散骨 樹木葬など |
2 | 実家の家族と一緒に埋葬してもらう | 先祖代々の墓石 永代供養墓 納骨堂など |
兄弟姉妹が多い時代は、結婚したとしても死別や離縁などで「おひとりさま」になってしまう人も少なくありませんでした。ひるがえって現代は、未婚率が増加する予測あり、ひと昔前にくらべると、シングルのためのお墓の選択肢が増えています。
選択肢 1 は、そういった現代の事情にもマッチしているお墓や埋葬法になります。
選択肢 2 は、もともとある実家のお墓に入る、またはこれから用意する実家のお墓(永代供養墓、納骨堂)に入る方法です。
ひと昔前はおひとりさまになると、この選択肢 2 が取られており、先祖代々のお墓に兄弟姉妹のお骨が納めてあるケースがみられます。しかし、世帯別の意識が高まったせいか、家族の個別化が進んだためか、おひとりさまが実家の墓に入る選択肢を躊躇する状況になってきています。
そういった背景も、埋葬先(お墓)の多様化が進んだ一因にあるのかもしれませんね。
ただし、子どもがいて離婚したおひとりさまの場合、お墓があちこちに点在すると、将来的に子どもたちがお墓参りをしていくうえで負担になることが考えられます。
先祖のお墓はこちら、母のお墓はあちら、父のお墓はそちらとなると、お墓参りだけでも3ヶ所に行かなければならなくなりますよね。先祖が眠るお墓に一緒に入れると、子どもたちに世代間のつながりを感じてもらえますし、お墓参りの負担をかけることもないという一挙両得な面があることは否めません。
実家のお墓に入るには?
現代のお墓は世帯ごとに用意することが多く、実家のお墓に入るのは、お墓という祭祀財産を承継する人(祭祀承継者)と、その同一世帯の家族が一般的です。
しかし、祭祀承継者とその同一世帯家族以外は埋葬してはいけないという法律はありません。
お墓を継ぐ兄弟が他にいる場合は、その祭祀承継者となる人に、自分が亡くなったときには実家のお墓に埋葬して欲しいということを相談し、了承を得られれば、祭祀承継者でなくても実家のお墓に入ることはできます。
祭祀承継者の方と、その同一世帯の家族の同意が得られれば、おひとりさまであっても自分だけのお墓をもとめる必要がなく、かつ両親や先祖とともに眠ることができるのです。
おひとりさまでも、子どもがいる、いない、また祭祀承継者である兄妹やその家族との関係性など一概ではありませんので、新たにお墓を用意したほうがいい場合もあるでしょう。しかし、だからといって、「おひとりさまは自分でお墓や埋葬先を用意する必要がある」という単一な答えしかないわけではないことを、セミナーの相談でも伝えさせていただきました。
こういった選択肢があることを知ることで、家族との関係性を見つめ、コミュニケーションを図るきっかけになるかもしれませんね。
お墓の相談2位|実家の墓の跡継ぎがいない
「姉妹、またはひとり娘で嫁いだので、将来的に実家の墓の跡継ぎがいなくなる……」
「先祖の墓が離れた場所にあるが、新しい墓を両親が建てたので、古いお墓をどうしよう……」
このようなご相談もセミナーなどでよく聞かれるものです。
実家の墓の跡継ぎがいなくなるケースでは、たんにそのお墓の墓じまいをするだけでなく、嫁ぎ先で作ったお墓を「両家墓」にすることで解決する方法があります。
両家墓(りょうけばか)とは?
二つの家系を一つの墓で合祀すること。
少子化にともなう、ひとりっ子同士の結婚などで、実家の墓を継ぐ者がいない場合の選択肢として、増えてきている埋葬法。
見た目は一般的なお墓だが、二つの姓が彫られていたり、中の納骨室が二つに分かれていることがある。
これまでお墓は、長子の男子が相続することが多かったのですが、娘しかいない、長子の男子が早逝したなど、跡継ぎがいなくなった実家の墓を両家墓に改葬する例は昔から存在していました。
しかし、近年は少子高齢化もあり、実家のお墓を両家墓に改葬する事例も増えてきています。
両家墓への改葬方法
- 実家のお墓をしまう(※お骨の改葬後に墓じまいしても良い)
- 実家のお墓で埋葬されていたお骨を、新しいお墓(嫁ぎ先のお墓)に改葬する
両家墓には二つの方法があります。
- 新しいお墓を作るときに、両家墓として建てる場合
- もともとある既存のお墓を両家墓にする場合
両家墓として新しく作る場合は、どのようなお墓にするかを石材店に相談してみましょう。
もともとあるお墓を後になってから両家墓にする場合も、石材店に相談すればリフォームをふくめて相談にのってくれるでしょう。大がかりなリフォームをしなくても、対になっている花立などに、それぞれの姓を彫るといった簡単なリフォームで、両家墓として生まれ変わらせることもできますよ。
両家墓で気をつけなければいけないこと
両家が違う宗派を信仰している場合、どちらかの宗派で供養していくのかということが問題になる場合があります。これが解決できないと両家墓にすることはむずかしいかもしれません。
まずは、両家の宗派の確認をすることが大事です。そのうえで、供養をどの宗派でしていくのかといったことを確認しておくのが良いでしょう。さらに寺院墓地のお墓を両家墓にする場合は、違う宗派の遺骨を埋葬できるのかを寺院に確認しないといけません。
新しく両家墓を建てる際、寺院墓地でなく公営墓地であれば、墓石に彫る文字も宗教性がない言葉を選ぶことが多くなります。
お墓の相談1位|将来的に墓の跡継ぎがいなくなる
堂々の第1位は、さし迫った問題ではないけれど、将来に不安をかかえている相談内容になります。
「娘しかいない」
「子ども県外に出て家庭を持ち、地元に戻ってくることがなくなった」
せっかくお墓をつくったが、また家のお墓があるけれど、そのお墓を将来的に維持できないかもしれない、という将来を憂う相談が一番多い実感があります。
昔は婿養子をもらうなどして、なんとか跡継ぎを絶やさないようにしていましたが、今はそういったことは少なくなっているので、このような相談が多くなるのは必然かもしれませんね。
解決策としては、
- 将来的に墓じまい(‘改葬)という選択肢があること
- その場合の概算金額(現在の相場で)を知る
などして、心がまえをしておく方法があります。
しかし、墓じまいとひと言でいっても、たとえば子どもたちが新たに自分たちのお墓を用意したタイミングで、そこに改葬してもらうことになるので、実際にはお墓がなくなるわけではありません。
このような話題が出ると、お墓、とくに墓石をつくることを躊躇する場合があります。しかし、嫁いだり、県外に出ていった子どもたちが、自分の子どもを連れてふるさとに帰省して墓まいりをすることを、ひとつの家族行事として楽しんでいることも少なくありません。
また、親が想いを込めてつくったお墓や先祖代々の立派なお墓をなるべく残しておきたいと考えている子どもたちもいます。大切なのは家族間の話し合いなので、そういったことを普段から話しておくことも、終活一環として心にとめておいてほしいですね。
最終的に墓じまいをするのは、その子どもたちが墓参りに行けなくなったときになることがほとんどですから、そのタイミングがくるまでには長い年月があることも。
その年月を、家族にとってお墓がある年月にするのかどうかもふくめて、情報にまどわされるだけでなく、長い目でとらえることがほんとうの意味での終活になるのではないかと思います。
まとめ
終活というテーマで「お墓」のことを考えたとき、よく聞かれる相談内容について解説しました。
お墓については「正解」があるようでなく、家族が、そして、あなた自身が良しとできることが一番大事なのではないかと思います。そういった意味では、お墓は生き方でもあり、どの選択肢を選ぶのかもふくめて、生き方につながっていくのかもしれません。
どのようにしたいのか、またできるのかという視点を持ちながら、それにともなって情報を収集するのがオススメです。
ぜひ一度、家族でお墓について話し合ってみてください。

砂田 嘉寿子
Twitterアカウント→@sunadasekizai
・墓石店で仕事をしながら、お墓を深掘りするお墓のコンテンツメーカー&ライター。

「終活の相談窓口」では終活に関する様々なサポートを行なっております。
竹内
- エンディングノートの書き方サポート
- 終活に関するご相談(無料)
- おひとりさまの終活サポート
終活に関するご相談は以下からお願いいたします。
無料で受けられる「終活ガイド初級」で、終活の基礎知識を学びませんか?
エンディングノートの細かな部分をしっかり理解し、”『エンディングノート』を通じて豊かな人生のお手伝いをする”やり甲斐、使命感を感じられる仕事『エンディングノート認定講師講座』については以下をご覧ください。