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事業承継”個人成り”とは?個人成りを検討するタイミングとメリット・デメリット

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事業承継といえば個人事業主から法人化することだけを指すと思われがちですが、これだけではありません。

 

個人事業主から法人化することもあれば、法人化から個人事業主になる”個人成り”があります。

 

今回は個人成りについて必要書類やメリット・デメリットについて詳しく紹介するので、現在個人成りを検討している方はぜひ参考にしてください。

 

目次(この記事は以下の順番で構成されております)

  • 事業承継・個人成りとは?
  • 法人から個人成りを考えるタイミング3つ
  • 法人から個人成りで個人事業主に戻るメリット・デメリット
  • 法人から個人に戻すために必要な手続き
  • 個人成りを行う前に確認すべきこと
  • まとめ:個人成りは後退ではなく前向きな判断の1つに

事業承継・個人成りとは?

事業承継と個人成りについて、わかりやすく解説します。

事業承継とは?

事業承継とは、企業の経営を信用できる人(後継者)に引き継ぎを行うことをいいます。

 

事業承継前に現経営者と後継者とで話し合い、今後の経営・株式・不動産・資産をどのように引き継ぐのか、どのように進めて行くのかを決めます。

 

20年以上前は事業承継する後継者の80%以上が息子や娘でしたが、現在は親族以外の従業員や社外の第三者などに承継することも増えており、承継先は必ずしも血縁関係者である必要はありません。

 

参照:中小企業庁 (事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会

 

後ほど紹介する、「個人事業主から法人に事業承継する際」には、現経営者と後継者が同一人物となります。

個人成りとは?

個人成りとは、事業の縮小や経営状況の悪化などの理由で法人から個人事業主(フリーランス)に戻ることを言います。

 

法人から個人事業主に”戻る”ことから、「悪いこと」「後退」など悪いことにとらえてしまう場合が多いですが、決して悪いものではありません。

 

事業が軌道に乗り、税金対策が必要不可欠で法人化を行うのはメリットです。

 

しかし、事業の縮小や従業員が減ったことで法人化のメリットを活かしきれないと判断した場合は、個人成りのデメリットなどを理解した上で個人事業主に戻るのも経営戦略の1つです。

 

今の事業はどの形態で行うべきなのか、じっくり吟味していきましょう。

法人から個人成りを考えるタイミング3つ

法人化した会社の個人成りを考えるタイミングは、どのようなときでしょうか?

 

個人成りを考えるタイミングの多くは、”法人化のメリットがメリットでは無くなった”場合が多いです。

 

それでは3つのタイミングに絞って詳しく紹介していきます。

1つ目:節税効果が無くなってしまった

法人化を行うと所得、法人税の税率の違いや給与所得控除、社会保険料など節税につながるポイントが多くあります。

 

しかし、所得・課税売上額が一定金額を下回ってしまう場合は法人化の節税効果をうまく使いこなすことができなくなります。

 

納税する金額が増え会社の経営を圧迫してしまうのであれば、個人事業主になった場合に収める所得税などを計算し、どちらのほうがより利益を得られるか検討しましょう。

 

もし、個人事業主の方が多くの利益を得られる場合は、個人成りを考えるタイミングかもしれません。

2つ目:法人である必要性が無くなった

これは取引先の契約や所得条件などの理由で仕方なく法人化した場合です。

 

法人化を必要とした企業との契約が終了した、事業の内容が変更したなどの理由で法人である必要性がなくなったのであれば個人成りを検討してもいいでしょう。

 

しかしこのときに「もう必要ないから」とすぐに個人成りを行うのではなく、法人か個人事業主かどちらのほうがよりメリットが多いかしっかりと理解した上で決めましょう。

3つ目:社会保険料の支払い負担が大きい

法人では社会保険の厚生年金と健康保険の加入が必須となり、金額は報酬によって変動するため自分自身や従業員の報酬が増えればそれだけ保険料の支払い負担が増えていきます。

 

保険料には納付期限が定められており、延滞すれば利息の支払い、滞納すれば差し押さえの対象です。

 

個人事業主は、国民健康保険と国民年金の加入義務はありますが、報酬がどれほど高くても納付金額は上限があるため法人よりも負担は軽くなる場合があります。

 

もし保険料の延滞や滞納をしてしまうようであれば、法人よりも個人事業主のほうが良いかもしれません。

法人から個人成りで個人事業主に戻るメリット・デメリット

それでは実際に、法人から個人成りを行った場合のメリットやデメリットはどのようなものがあるでしょうか?

 

メリットだけではなく、デメリットもしっかりと理解して失敗しないようにしてくださいね。

個人事業主に戻るメリット3つ

まずは個人成りを行い個人事業主に戻るメリットを3つ紹介します。

 

メリット1:消費税の支払いが2年間免除

「消費税の支払いが2年間免除」されるのは、個人成りを行った際に売上が1,000万以上あり消費税の支払い義務がある場合に適用されます。

 

本来1,000万円以上の売上があれば、課税事業者として消費税を納めなければいけません。

 

しかし、法人から個人成りを行ったときの売上が1,000万円を超えていた場合でも、2年間の消費税の支払いが免除されます。

 

仮に、法人する前の個人事業主の時にすでに売上が1,000万円を超えていて、2年間の免除を受けていたとしても再度2年間免除してくれます。

 

この制度を利用して、消費税対策と称して法人成りと個人成りを繰り返す事例があります。不正行為と見なされ、支払予定だった税金や罰則金、遅延金の支払い命令がくだされることもあります。

参照:国税庁 №.6501納税義務の免除

 

メリット2:税理士費用を減らす

法人の税務申告や確定申告はかなり複雑で、しっかりと申告書や帳簿を用意する必要があり、税理士の資格などが無い限り、自分で行うことはほぼ不可能とも言われています。

 

それに比べ、個人事業の方が簡単であり最近は会計ソフトが充実しているので知識のない素人でも正しく確定申告などをすることが可能です。

 

わざわざ税理士を雇わなくて済むため税理士費用の削減が出来ます。

 

仮に税理士にお願いする場合でも、法人と個人では顧問料に違いがあることが多いため、個人のほうが税理士費用を抑えられます。

 

メリット3:税務調査が減る

税務調査とは、税務署や国税庁管轄職員が実際に職場や事務所にやってきて行われる、訪問調査です。

 

帳簿や領収書など過去をさかのぼって確認を行い、調査期間は2~3日かかるとも言われています。

 

税務調査の対象は大手企業や中小企業といった法人だけではなく、個人事業主もふくまれています。

青色申告でも白色申告でも関係はありません。

 

税務調査率は毎年国税庁が発表しており、平成28年度は法人3.2%、個人1.1%です。法人の税務調査のほうが、個人に比べ3倍近く高いのがわかりますね。

 

きちんと確定申告を行っていれば、個人事業主で税務調査が行われることは殆ど無いでしょう。

 

参照:国税庁 実地調査の状況

 

個人事業主に戻るデメリット4つ

個人事業主に戻ることには大きなメリットがある!と感じてしまうかもしれませんが、もちろんデメリットもあります。

実際に個人成りを行う前に、しっかりとデメリットを知っておきましょう。

 

デメリット1:所得税や住民税の増加

個人事業主でどれほどの売上を上げるか、どこに住んでいるかによってデメリットとなるかどうかが変わります。

 

法人の場合、給与所得控除を売上から差し引くことが出来ますが、個人事業主ではできなくなります。

 

また、法人であれば家族を会社役員とすることで給料の分配ができ、所得の分配ができますが、個人事業主の場合給料と労働の対価が厳密に問われるため、家族へ給料を分配することが難しいです。

 

そのため一人に所得が集中してしまい、税率が上る可能性があります。

 

参照:国税庁 №.2260所得税の税率

参照:総務省 個人住民税

 

デメリット2:各種名義変更の手間がかかる

当然ですが、法人で使っていた取引口座や法人として契約した賃貸借契約などの契約類は、すべて個人で作り直しや契約のやり直しを行う必要があります。

 

法人の際に雇っていた従業員に引き続き仕事を頼む場合は一度法人を退職、個人に再就職するという流れになるため雇用保険や社会保険の変更手続きが必要です。

 

このように、個人成りを行うための手続き以外にも、細かい名義変更等の書類作業があるため、かなり手間がかかるでしょう。

 

デメリット3:法人の事後処理にお金がかかる

個人成りを行う際には法人を清算するか休眠させる必要があり、休眠させる場合の手続きは簡単で1年毎の申告となります。

 

後述しますが、手続きがとても大変で、20万~といった費用もかかります。

 

弁護士などに依頼することもできますが、別途弁護士費用がかかってしまうため安い出費とはとても言えないでしょう。

 

デメリット4:信用度が落ちる

法人と個人では、法人の方が世間の信用度は高くなっています。

 

個人事業主やフリーランスのあるあるとして信用度が低いために、クレジットカードが作れない、賃貸を借りられないといった可能性もあります。

 

こちらはある程度の売上をだし、きちんと確定申告をしていれば回避できるとも言われており、最近は個人事業主でも作れるクレジットカードが増えたり物件の賃貸審査が通りやすかっりはありますが、法人よりは信用度は落ちると思っておいたほうがいいでしょう

法人から個人に戻すために必要な手続き

法人から個人成りを行い個人事業主に戻るには、どのような手続きが必要なのでしょうか?

必要な手続きや、それに伴って必要となる費用についても詳しく紹介していきます。

 

参照:国税庁 第53条解散の事由

会社を解散・清算する

会社を解散するためには株主総会で承認を得て、残務処理を行う清算人を選出する必要があります。

株主総会で解散が決定し、清算人が決まれば法務局で解散及び清算人選出の登記を申告します。

 

法人資産を個人へ名義変更又は売却

今後も個人事業主として活動を行うのであれば、会社のすべての事業用資産を個人へ売却します。

固定資産税を時価で会社から個人に売却、代金相当金額を会社に支払う必要があり、清算中の会社は営業活動が出来ません。

 

そのため解散前に事業に、関わるすべてのものを個人に移転させておくといいでしょう。

 

解散登記

解散が株主総会で承認されたら「解散及び清算人選任の登記」を申請しますが、多くの場合この清算人は代表取締役が就任します。

申請を行えば会社は清算中となり、”解散会社”として登記されます。

 

費用としては、

が必要です。

 

清算人による精算手続き

解散登記後、清算人は財産目録と貸借対照表をすぐに作成し、株主総会での承認を得ます。

 

清算人は債権者に、一定期間内に債権を申し出る旨を官報(日本国の機関紙、国としての作用に関わる事柄の広報や公告)に公告を行い、わかっている債権者には個別で催告を行います。

 

公告期間が経過し”残余財産”が確定すれば株主に分配などをして清算します。

もし残余財産が資本金を上回ってしまった場合、法人税・法人住民税の課税対象となるので注意してください。

 

費用としては、

が必要です。

 

清算結了登記

清算事務が全て終了すると、清算人は決算報告書を作成、株主総会から承認を得ます。

清算結了は株主総会から承認を得た2週間以内に登記申請を行います。

「清算結了の登記」が完了したら、会社は完全に消滅です。

 

費用としては、

が必要です。

 

税務署に廃業手続きに必要な書類を提出する

清算結了の登記が完了したら、所轄の税務署などに3つの書類を提出し廃業手続きが終了します。

 

個人事業主としての開業手続きを行う

今後個人事業主として活動するのであれば、個人事業主としての開業手続きを行います。

 

こちらは、サラリーマンなどが個人事業主として独立開業する際に行う手続きと、基本的には同じです。

 

所轄の税務署へ開業届を提出し、国民健康保険や国民年金の加入を行いましょう。

個人成りを行う前に確認すべきこと

個人なりを行う前にはメリットデメリットの理解も必要ですが、いくつか確認すべきこともあります。

後悔しないために確認すべきことを紹介します。

取引先をチェック

取引先の中には個人での取引をしておらず、今までは法人だったから契約が成立していた場合があります。

 

個人事業主になってからも契約を続けたいと思っている取引先には、個人事業主でも引き続き取引をしてくれるのか、なにか条件等はあるのかなどをしっかりと確認しておきましょう。

許認可が必要な事業(仕事)を行っていないか

事業をする上でなにか許認可が必要だった場合、個人でも続けるのであれば改めて許認可を取得し直す必要があります。

 

しかし、許認可を取得するためには信用度が必要な場合があり、個人事業主にした瞬間許認可が通らなくなる可能性があります。

今後も事業を継続するつもりなのであれば個人でも許認可が降りるのかどうかを確認しておきましょう。

法人化したメリットが無くなる

法人化には個人事業主には無いメリットがたくさんあります。

信用度や節税効果がよく挙げられますが、普段は見えない小さなメリットの恩恵を受けている場合もあります。

 

個人成りを行うと法人化のメリットが無くなってしまうため、法人として受けているメリットはどんなものなのか、一度整理してみることがおすすめです。

そして、そのメリットが無くなっても仕事を続けられるのか、大丈夫なのか検討しましょう。

まとめ:個人成りは後退ではなく前向きな判断の1つ

法人から個人成りを行うことは後退だと考える方も居ますが、しっかりと考えた上で判断した個人成りは後退では無く前向きな判断の1つです。

 

法人化した経験やそこで知り合った人脈は個人事業主として活動する中でも必ず役に立つはずです。

 

失敗してしまった、会社を潰してしまったとマイナスに考えるのではなく、いい経験をしたとプラスに捉えていきましょう。

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