介護福祉士とは|資格取得方法や仕事内容、講師(教員)になるには?


記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦

記事監修者:一般社団法人終活協議会代表理事:竹内義彦
介護福祉士とは、介護職の中で最も有名な資格ではないでしょうか?
介護福祉士は国家資格であり、略称として介護士又はケアワーカーとも呼ばれています。この記事では、
- 介護福祉士とはどのような資格なのか
- 介護福祉士の勤務先
- 介護福祉士を取得するメリットとデメリット
- 介護福祉士の資格取得方法
について解説しています。ぜひご参照くださいね!
介護福祉士とはどんな資格?
介護福祉士とは介護を必要としている方(お年寄りや障害者)が安心して食事や入浴、排せつなどを日常生活を送ることが出来るように介助などの手助けを行ったり、介護をしている方の相談に乗ったりアドバイスをしたり精神的に支えるなどの役割を担っています。
介護現場では、ヘルパーの方に向けての指導やアドバイスを行い、介護についての専門知識や技術を持って指導等を行う現場リーダーのような働き方を求められます。
今までであれば、介護福祉士よりも上の上位資格と言われるものはなかったのですが、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機関によって認定介護福祉士という資格も作られたので、介護福祉士として十分な実務経験や研修経験を積んだらこちらにも挑戦していただきたいと思います。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の簡単な仕事内容は先程紹介しましたが、ここではより詳しく紹介していきます。
介護福祉士の仕事は
- 介護を必要としている人
- 介護を必要としている人の家族
- 介護スタッフ
それぞれに向けて主に5つの仕事内容があります。
介護を必要としている人
- 身体介護(日常生活全般)
- 生活補助(身のまわりの整理整頓など)
- メンタルケア(話し相手や介護についての相談やアドバイスなど)
介護を必要としている人の家族
- 介護に関する指導やアドバイス(介護の方針や介護用具、自宅介護の注意点)
介護スタッフ
- マネジメント(リーダーとして他のスタッフに対するタスク管理や指導など)
これらが主な仕事内容となています。
介護福祉士は介護のスペシャリストとして期待されており、ほかのスタッフやご利用者から信頼を置かれるとても重要な役職です。これらは主な仕事内容であり、勤務先によっては少し違った業務内容になる場合があります。
介護福祉士の勤務先|講師(教員)になるには?
介護福祉士を生かした勤務先というのは主に介護施設になりますが、介護施設にもいくつかの種類があります。
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 介護老人保健施設
- グループホーム
- 介護医療型医療施設
- サービス付き高齢者向け住宅
- デイサービス
- デイケア
他にも訪問介護や高齢者だけではなく、18歳以上の常時介護を必要としている方の生活施設である身体障害者療養施設などがあります。
ただ、これらの勤務先は先程紹介した業務内容から大きく外れることは無いと思います。
介護施設以外にも、福祉系養成施設の教員や初任者研修や実務者研修、介護福祉士試験対策講座などの講師という勤務先もあります。
次にはそれぞれの講師として働くための条件等を紹介していきます。
介護福祉士養成校教員
こちらはその名の通り、介護福祉士資格を取るために通う学校の教員です。
介護福祉士を育てるうえで、理論や実技科目を教える必要があり、より実践的で本番に強い実技を教えるために3つの規定が作られています。
どれか1つでもクリアすることが出来れば、介護福祉士養成校教員として勤務することが可能になります。
- 介護福祉士・社会福祉士・医師・保健師・助産師・看護師のいずれかの資格を取得し、5年以上の実務経験がある
- 大学院・大学・短期大学・高等専門学校のいずれかで教授・准教授・助教授・講師として教育に関し教授する資格を有している
- 専修学校の専門課程の教員として教育に関し3年以上の経験があるもの
介護福祉士の資格を持っているのであれば、一番該当する可能性が高いのは1ではないでしょうか?この実務経験は必ず介護福祉士の資格を使った職場であることが必須です。
先程紹介した介護福祉士の勤務先に上がっていた場所であれば問題ありません。
また、介護福祉士養成校のカリキュラムとしてある
”介護”
”こころとからだのしくみ”
の専任教員として働く場合のみ先ほどの3つの規定のほかに満たすべき条件があります。
それぞれ2つありますがどちらの条件もクリアする必要があります。
介護 | ・介護福祉士の資格を取得したのち5年以上の実務経験
・厚生労働大臣が定める基準を満たす介護教員講習会を修了している |
こころとからだのしくみ | ・医師・保健師・助産師・看護師の資格を取得したのち5年以上の実務経験
・厚生労働大臣が定める基準を満たす介護教員講習会を修了している |
興味がある方は介護教員講習会を受講してみるのも良いですね。
実務者研修の教員
こちらは実務者研修の取得を目指す人たちに向けて講習などを行う教員の事です。
実務者研修の教員になるためには2つの条件どちらかをクリアしたのちに実務者研修教員講習会を修了します。
- 介護福祉士として5年以上の実務経験がある
- 介護に関する科目を教授する資格がある
(大学などの教授・准教授・助教授・講師・養成施設・福祉系高校(一般高校)での教員歴3年以上又は福祉系高校(特例高校)・実務者研修での教員歴5年以上)
このどちらかの条件を満たしたうえで講習を受けましょう。
そして、この実務者研修の中の
”介護過程3”
”医療的ケア”
を教えるためには、上の条件に加えてさらにこれから提示する条件をすべてクリアする必要があります。
介護過程3 | ・教員の資格要件を満たしている(上で記載した2つの条件)
・実務者研修教員講習会、実習指導者講習会などを修了している |
医療的ケア | 医師・保健師・助産師・看護師で実務5年以上で、医療的ケア教員講習会を修了 |
介護職員初任者研修の講師
介護職員初任者研修の講師は、介護福祉士として実務経験が5年以上あれば講師として働くことが出来ます。
そして
”介護保険制度・障害者自立支援制度及びその他の制度”
”医療との連携とリハビリテーション”
を教えるためには次に紹介する条件のうちどれか1つをクリアする必要があります。
介護保険制度・障害者自立支援制度及びその他の制度” | ・社会福祉士の資格を取得後実務経験が3年以上
・社会福祉施設に勤務していて施設長・管理者・主任指導員などの実務経験が3年以上 ・当該当科目を担当する現職の行政職員で実務経験が3年以上 ・介護・福祉系大学の学部・学科・介護福祉士養成校で当該科目に相当する教員として実務経験が3年以上 ・高等学校において福祉科免許を所得する教員として実務経験が3年以上 |
”医療との連携とリハビリテーション” | ・理学療法士として実務経験が3年以上
・作業療法士として実務経験が3年以上 ・言語聴覚士として実務経験が3年以上 ・リハビリテーションを専門とする医者として実務経験が3年以上 ・医師として実務経験が3年以上 ・介護・福祉・リハビリ系大学の学部・学科・介護福祉士養成校で該当科目を教えた経験が3年以上 ・高等学校において福祉科免許を所持する教員として実務経験が3年以上 ・当該当科目に関連する医療系職種で実務経験が3年以上 |
介護福祉士資格を取得するメリット
介護福祉士の資格を取得すると勤務先の幅が大きく広がることは上記で分かっていただけたと思います。
もちろん社会福祉士の資格を取得するメリットは勤務先が広がるだけではありません。
数多くのメリットがある中で、今回はよりメリットの大きい”社会的信用性”と”待遇面”に関してより詳しく紹介していきます。
介護福祉士の資格を取得するメリット1:社会的信用性
介護福祉士は介護職員初任者研修や実務者研修とは違い、認定介護福祉士が出来る最近までは介護系の資格の中で唯一の国家資格として有名で、介護士として働くのであれば絶対に目指すべきと言われていた資格でもあります。
国家資格という事は、国が認めた介護士として専門的な知識や技術があるという社会的信用性が高くなります。
そのため、介護職員に対する需要が高まっていく中で、介護職員初任者研修や実務者研修を持っている人と比べてより有利により良い待遇で働くことが出来ます。
また、苗字の変更や住所の変更等は必要になってきますが、1度取得してしまえば更新などは必要なく日本中どこでも通用する一生ものの資格という事で人気があります。
介護に携わっているのであれば持っていて損をする資格ではないでしょう。
介護福祉士の資格を取得するメリット2:待遇面
資格を取得するうえで待遇面というのはかなり気になるものではないでしょうか?
もちろん介護福祉士を持っている場合、なにかしらの待遇を用意している職場がほとんどです。その中でも給与というのは分かりやすい待遇が用意されています。
例えば介護福祉士資格を持っている人と介護職員初任者研修を持っている人がアルバイトとして働いている場合、月22日間8時間勤務した場合月に約3.5万、年間で42万程度の差があり、正社員の場合、月4万円年間48万ほどの差がでてきます。
ただ、給与面の待遇というのは増減はあれどどこの職場でも設定されていますし、昇進スピードも速い場合が多く主任などの役職につけばそれでまた給与アップを狙う事が出来ます。
介護福祉士の資格取得方法とは?
介護福祉士の資格を取得するためには介護福祉士国家試験に合格しなければいけません。
受験資格を満たしたうえで受験申込手続きを行い、筆記試験・実技試験を受けて合格すれば介護福祉士の資格を取得することが出来ます。
受験資格を満たす方法は
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 養成施設ルート
の3つがあります。
国家資格の中には養成施設などを卒業すると卒業と同時に取得できる場合もありますが、介護福祉士は受験資格を十分に満たしていても試験に合格しなければ資格を取得することが出来ません。
受験資格を得た後は勉強して合格を目指しましょう!
介護福祉士資格:実務経験ルート
こちらは働きながら受験資格を取得できるというメリットがありますが、試験項目に関しては勤め先で研修などがない場合独学で学ばなければいけないというデメリットがあります。
実務経験ルートの介護福祉士試験受験資格で必要なものは2つ
- 実務者研修資格
- 実務経験
社会福祉施設、病院の病棟又は診療所、介護等の便宜を供与する事業所のいずれかで従業期間3年、日数にして1,095日以上が必要です。(年次有給休暇・特別休暇・出張・研修など実際に介護業務を行っていない日数に関しては含まない)
介護福祉士資格:福祉系高校ルート
このルートでの受験は平成21年以降に福祉系高校を卒業したか、平成21年以前に卒業したかで変わります。
平成21年以降に卒業している方 | 高校の授業で実務などの必要なことは全て行っています。
そのため卒業と同時に介護福祉士試験受験資格を取得できますので申込をして筆記試験のみを受けましょう |
平成21年以前に福祉系高校を卒業した方 | 卒業と同時に介護福祉士試験受験資格は取得することが出来るのですが筆記試験・実技試験の両方の試験を受ける必要があります。
ただし、介護技術講習を受講された方に関しては実技試験は免除になります。 介護技術講習とは厚労省が平成17年に導入した制度であり、養成施設が実施する32時間以上の講習が必要です。 |
介護福祉士資格:養成施設ルート
このルートは福祉系高校ルートのように、途中で法の改正が行われ卒業年度によって少しややこしいことになっています。
まず先程、この介護福祉士という資格は卒業と同時に資格を取得することはできないと述べましたが、2017年1月実施試験までは指定された介護福祉士養成施設を卒業すると「卒業と同時に資格を取得する」ことが出来ていました。
しかし、2018年1月からは指定された介護福祉士養成施設を卒業すると「介護福祉士試験受験資格を取得できる」にかわりました。
詳しい年度は以下をご覧ください。
2016年度卒業生(卒業と同時に資格取得) | 引き続き資格取得者として認められます。
介護福祉士試験の再受験や再登録などは必要ありません。 |
2017年~2021年度卒業生(卒業すると試験受験資格取得、試験必要) | この期間が一番ややこしく現在該当している方が多く居ると思われるのがここです。
2017年~2021年3月31日までに養成施設を創業する人に限り、介護福祉士試験に合格できれば問題ないのですが仮に合格することが出来なくても登録申請をすれば卒業後5年間という期限付きで介護福祉士資格所得者として働くことが出来るという経過措置を受ける事が出来ます。 5年という期限が過ぎても介護福祉士の資格を取得し続けたい場合は このどちらの条件もクリアせず、卒業から5年が過ぎた場合資格取得(登録)が無効となります。 |
2022年度以降の卒業生 | 2022年度以降の卒業生は介護福祉士試験(筆記試験)の合格が必須となります。
卒業後5年間は資格を取得できるという経過措置もありません。 正真正銘、試験に合格しなけれな資格を取得することはできませんので頑張って勉強をしましょう。 |
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- 介護福祉士の資格を取得を目指している人
- 介護福祉士の資格が気になっている人
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まとめ
介護業界というのは頻繁に法改正が行われ年々新しい制度や規約が設定されています。
そのため今回の介護福祉士の試験受験資格が、一部ややこしくなっているようなことが起こります。
しかしそんな現在であっても、介護業界では一目置かれる資格であることは間違いがなく、上位資格である認定介護福祉士という資格が出来たことでより一層注目されている資格でもあります。
介護業界で働くのであれば切っても切り離せない資格であり、ぜひ目指してほしい資格です。学校に行ってなければ取得できない資格ではないので待遇面アップの期待も込めてあなたも介護福祉士になりませんか?

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竹内
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